店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
ちょっと前に「危険運転致死傷罪」に関するお話をいたしました(2021-02-13 【過失 vs 故意】)。それに関する記事を、毎日新聞デジタルで見つけたのでございます。厳罰化とは真逆の考え方が載っておりましたので、ご紹介いたしましょう。
その記事は、「死亡ひき逃げ事件」の時効廃止が見送られた件に言及しております。時効廃止や厳罰化を望む遺族の声を紹介しつつも、他の刑とのバランスや被害者と加害者との接点が無いゆえの捜査の難しさ、証拠保管の負担増などの問題点を挙げております。そして、ドイツの例を挙げて、この問題の新たな解決策を提示しております。
ドイツでは、「厳罰化はかえって加害者の逃走を促す」という考え方。それで、「一定時間内に事故を届け出て賠償した場合は優遇する」という処置が取られているそうでございます。処罰よりも、被害者救済を優先する考え方でございますね。相当の賠償をした場合には、起訴猶予または刑の減軽をする制度が法律として明記されているとか。この成文化されているというのは、スゴイですよねぇ。
さて、日本では、まぁ時々、「厳罰化が加害者の逃亡を促す」という事例になっておりますねぇ。取りあえず逃げて、後から「何かを踏んだとは思ったが、まさか人とは...」とか、どこかで酔いが醒めるのを待ってから殊勝な顔で現場に戻るとか。そんなズルい行為の裏で泣くのは、被害者の遺族達でございますね。長い裁判になるからでございます。
長い裁判と言えば、たいてい、刑事裁判の後にすぐ民事裁判で賠償請求がされることになる。これは、刑事裁判で使われた証拠をそのまま民事裁判で使うためでございます。そして、さっさと民事裁判をやらないと、警察ってところは証拠品を無くしてしまう。日本には、証拠の採集・保全を定める「証拠法」が無いという瑕疵も、毎日新聞デジタルの記事は指摘しております。
「ドイツでは、自分もいつ加害者になるかも知れないという考えが浸透していて、報復感情は弱い」と、その記事は記しております。車社会先進国のドイツならではの考え方でございますね。逆に、日本ってのは、水戸黄門・大岡越前の世界。つまり「勧善懲悪」。悪人は許さじ、悪人は懲らしめるべきという感情が強い。この違いが、厳罰化に関する考え方の大きな違いを作り出していると思っております。
日本も、ドイツ方式への転換を考え始めてもよろしいのではないかなぁ。ドイツ方式だと、「金持ちやりたい放題」という状況を作り出してしまうかも知れないですよね。けれど、それで被害者遺族が救済されるのならば、それは必要悪と割り切ることは出来ないかなぁ? 裁判にならずに、即、示談解決ですから、刑事・民事裁判で長期化するよりも合理的で遺族の負担も少ない。どうなもんでしょうか?