店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
近所にこじゃれた料理屋さんがありまして、その店先に、大きなサボテンが植えられておりました。西部劇に出てくるようなぶっといのじゃなくて、ウチワサボテンっていう平べったいやつ。長年植えられていたのでしょう、すくすく育って、160cmくらいの高さに成長したサボテンでございました。
サボテンですので、表面にとげとげがいっぱいございます。ところが、ある日、そのとげが全て切り取られていたのでございます。歩道からちょっと引っ込んだところにありますので、まぁ歩行者がケガをする事は無いとは思っておりました。しかし、何かしらのクレームが入ったのでございましょうか。あるいは、店の主が気を利かして手入れをしたのでございましょうか。トゲトゲだらけのサボテンは、とげの無い真っ裸のウチワサボテンと変貌しておりました。
その日から、そのサボテンには奇妙な現象が起こり始めるのでございます。ウチワサボテンの平べったい葉が、少しずつ欠けていくのでございます。かけ始めると、妙に気になる。わざわざその店の前を通るようにしてまでも、毎日観察するようになったのでございます。下の方から少しずつ欠けていき、下の葉が無くなると、徐々に上の方の葉が欠けていくのでございます。
欠けていくというか、どう見ても「かじった跡」。ウチワサボテンと言えば、本来、食用のサボテンでございます。生でもそこそこに美味しいのかもしれません。“何かしらの生物”が、毎日、少しずつ食べていったのでございましょう。下の方から無くなっていったウチワサボテンは、少しずつ、少しずつ、無残な姿になっていき、とうとう、ほとんど何もないサボテンになってしまったのでございます。あまりにもむごたらしい姿になってしまったので、店の主が処分したのでございましょう、いつの間にかそのサボテンは無くなっておりました。
さて、ここで、そのサボテンを食べてしまった“何かしらの生物”とは、何でしょうか? 毎日、観察しておりましたが、とうとう、その謎の生物と遭遇する事は一度もありませんでした。野良犬でしょうか? でも大きなサボテンの上の方まで食べられておりましたので、そうとう大きなワンちゃんであることが想像できます。人間でしょうか。でも、人間だったら、葉っぱごとちぎっていき、自宅で調理するでしょう? ウ〜ン、謎なのでございます。