店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
ネットの記事で、ちょっと興味深いものに出会ったのでございます。若き日のMr.マリックさんが、まだ手品グッズの販売員だったころの逸話。グッズの売り込みに苦労するマリックさん、ある保険外交員のオバチャンの助言で、目のウロコが取れたというお話でございます。
保険のオバチャンいわく、保険というのは自分のための商品ではなく、残された大切な人を幸せにするための商品。残された人の幸せな顔を想像させるという「夢」を売らなきゃ。マジックのグッズも、買った人がマジックを披露して誰かを喜ばせている姿を想像させるの。グッズではなく、マジックという「夢」を売るのよ、とのこと。
このオバチャン、なかなかのやり手ですなぁ。で、このオバチャンのひと言で、マリックさんのグッズは売れ行きが良くなったそうでございます。お水や風俗のような人気商売も、やはり「自分を売っている」のですよね。で、このオバチャンの言うようなことは、よ~く思い当たるわけでございます。
以前、「繊細な人」のお話をいたしました(【繊細という名の両刃の刃】2020-10-08)。繊細な人というのは、自分が他人からどの様に思われているか、いつも気になっているという一面がございます。接客においても常にこの感覚が有ることを、ワタクシは「お客様の顔が見えている」と言っております。
以前、「繊細な人」は客商売で成功することが多いと申し上げました。それは、常にお客様の顔を見ようとしているから。いや、「誰でも見ているでしょ」と思うでしょ? でも、意外と、見ているようで見ていないのですよ。お客様の顔以上に、「自分を見ている」「自分のやっている事を見ている」人も多いのでございます。
「自分はこれだけのレベルにいるのだから」「自分はこれだけの事をやっているのだから」、だからお客様は満足しているはず、そう考えるのですよね。グッズの長所の売り込みばかりをしていて苦戦中だったマリックさんと、同じでございます。退屈していてもお客様は微笑んではくれる。その微笑みの向こう側にある感情を読み取れるほどには、お客様の顔を見ていないのでございます。
保険のオバチャンは「夢」という語を使いましたが、ワタクシは若い頃から「感動」という語を使っております。お客様を自分の所で止められるか、お客様を自分にリピートさせられるか、常々、その鍵は「感動」だと思っておりました。