店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
ノーベル文学賞は、またまた村上春樹さんは外されましたね。春樹さん、北欧から嫌われているのでしょうか? 『ノルウェーの森』なんて作品もあるのですけどねぇ。これだけ長く縁が無いと、いざ「受賞させよう」って時に逆に気まずくなったりしませんかねぇ。
ワタクシも、本は大好き! 先日、新しく移設された「丸善」へ行ってきたのでございます。どんなものか見学もしたかったのですが、ある最近のベストセラー本を探しに行ったというのもございます。それが、こんな本。画像の左側の本が本命、右側のはついでに衝動買いでございます。
「繊細さん」とは、専門用語で「HSP(Highly Sensitive Person)」ともうしまして、いろいろ敏感な人の総称でございます。この「敏感」というのが幅が広うございまして、関西弁で俗に言う「気にしい」というレベルから、蛍光灯の唸り音を騒音と感じてしまうレベルまでございます。
「察しが良い」とか「空気が読める」なんてのも、この「繊細」の尺度のひとつ。見過ごしてしまうような小さな表情の変化や場の雰囲気をもキャッチ出来たりする。仕事にも非常に細かい気配りが出来て完成度が高くなる。あら? いいことづくめじゃん。ではなぜ、その「繊細な人」の心を救うための本が売れまくっているのか?
実は、この生活にもお仕事にもプラスであるはずの「繊細さ」を、マイナスに使ってしまう人が増えているらしいのでございます。相手の心を慮(おもんぱか)りすぎてクタクタになってしまう。仕事の細かい部分を気にし過ぎてかえって失敗してしまう。物事に繊細に反応し過ぎて、ストレスを溜めてしまうのでございます。
水商売でも風俗でも、この「繊細な人」というのは人気が出ることが多いのでございます。お客様のちょっとした表情の変化を見逃さず、その表情の変化の裏にある心理を見透かし、先手を打ったおもてなしが出来るからでございます。ただ、繊細じゃない人に商才がないかと言うとそうでもない。なぜか? お客様の大多数はその他大勢の「繊細でない人」だからでございます(失礼)。
ただ、「繊細なキャスト」に対しては「繊細なお客様」「その他大勢のお客様(失礼)」の両方から人気を得られる。しかし「繊細でないキャスト」に対しては「その他大勢のお客様(重ねて失礼)」としか相性がよくならない。まぁ必然的に「繊細なキャスト」の方が、商機が増えるということにはなるのでございます。
さて、こんな素晴らしい能力「繊細さ」が、マイナスに働いてしまう人も少なくございません。この繊細さが自分の中で完結している分には問題ない。問題が発生するのは、「繊細な人」と「繊細でない人」との接点でございます。水と油、陽子と電子、電車の上りと下り、接すると大変なことになる組み合わせでございます。
世の中には、「繊細でない人」が圧倒的に多いのでございます。「繊細な人」は少数派。だから繊細な人は「繊細でないことへの同調圧力」を受け続けているのでございます。どんなことでも「折り合い」を付けさせられるのはいつも少数派。繊細な人がいかに世の中と折り合いを付けて上手に生きていくか、そんな本が売れているということでございますね。
ワタクシ、従業員の中でこの「繊細さ」に押しつぶされそうになる人がいますと、必ず同じアドバイスをしております。「バカの振りをしろ」と言っております。まぁ、これは極端な言い方。他には「ちょっとアクセルを戻して他の人の回転数に合わせたら」とか「あえて目線を下げた物言いで、共感を得つつ相手をコントロールするようにしたら」なんて言うこともございます。
ワタクシも経験がございますが、繊細な人には大きな「落とし穴」が待ち構えているのでございます。それは、「私が気づく事をどうして他の人が気づかないの?」という想いですね。この想いに落ちてしまうと、他の人に気づかせようとしてしまう。この不毛な努力が、自身のストレスとして溜まっていくのでございます。
「自分が気づいていること、見えていること、それが他に人には見えていないのだ、そんな見えていない人が世の中の多数派で、それで世の中うまく回っているのだ」と達観できると、この落とし穴から抜け出せるのですよね。ビジネスの貴重な才能である「繊細さ」ですが、ひと度これを他人に当てはめようとすると、自分が傷ついてしまう両刃の刃。繊細さでお悩みの方がいらっしゃいましたら、どうぞ参考にして下さいませ。では。では。