店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
「汝の敵を愛せよ」という言葉がございます。自分に損害や危害を加えるような人にでも愛情を注げるような、慈悲深い心を持てというキリスト教の言葉でございます。これ、言葉で言うのは簡単なのですが、じゃぁ実際に、交通事故被害者の遺族が加害者を愛せるかというと、これはなかなか難しい。この言葉はむしろ逆に、人間の罪深さを思い知らされる言葉でもございます。
長年、商売をやっておりますと、商売敵(がたき)というのは必ず現れる。また、自分と全く相性が合わない人物に出くわす事もございます。相手を「敵」と思うと、そこに生まれるのは「敵がい心」でございますね。時には、相手を忌み嫌い、憎む事もございます。そんなことを何十回と繰り返しながらの、長年の商売でございます。
長くやっておりますと、「敵を憎む」ということに何らプラスが無いということに気づき始めるものでございます。憎んだ相手というのは、まぁたいてい、目を背けたくなる。観察することを怠ることになる。でも、敵が自分の敵たるのは、その敵が自分の弱点を突いているから。あるいは、自分の中の嫌な部分を敵の中に見出しているから。そんな敵の観察を怠るということは、自分の弱点や欠点を見いだすチャンスを自らドブに捨てているということでございます。