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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2020-10-14 【終身雇用の残夢からの目覚め】

「アルバイト・非正規には、ボーナス、退職金なし」、という最高裁の判決が出て、いろんな声が上がっております。「不当判決だ!」「働き方改革に裁判所がブレーキ!」とか言われてますが、「そりゃそうだろ」という声もございます。まぁ、賛否両論あるのはよろしいことではないですか。

ここで、日本中がしっかり注意しておかなければならないのは、この判決は「大阪医科薬科大学の事例」に限って判断しただけであって、一般的なアルバイト・非正規の待遇には言及していないことでございます。同じような訴訟が別の企業などで出た場合には、正反対の判決が下ることも有り得るということ。これ、多くの人、誤解してないかなぁ。

この訴えた人、1日8時間労働で週に5~6日働いていたとか。もう、これは正社員と同じレベルか正社員以上の労働時間ですよね。だったら正社員になればいいのに、とは思いますが、まぁいろんな事情があるのでしょうね。それだけの労働時間で給料は正社員の60%とか。これ、病院じゃなくて派遣会社を訴えるべきでは?

派遣で働いている人は「正社員と同じ仕事なのに」とついつい思うのでしょうが、実際には「同一労働ではなかったよ」というのが、裁判所の判断。この裁判、訴訟になる前に「話し合い」で解決したんちゃう? お互いの理解不足、コミュニケーション不足が、ここまでこじれさせた要因かと思いますです。

ワタクシは、ここまでの人生で、正社員というのは全く経験なし。20代なかごろまで、アルバイトを転々としておりました。当時は、「アルバイト最高!」「一生、アルバイトで結構!」なんて思ってましたよ。まぁ、20代中盤になって、18才くらいの高校生と一緒に働くなんてシチュエーションが増えてくると、いろいろ考えましたけどね。

ただね、ワタクシ、「正社員が羨ましい」とは一回も思ったことがない。グランドピアノを買うために中央卸売市場の荷物運びのバイトをしたときには、正社員より手取りが多かったですからね。で、時間になったらさっさと帰れる。「しがらみ」を嫌う自由な風だったワタクシ、バイトというポジションが実に心地よかった覚えがございます。

で、お話を冒頭の裁判に戻しますけど、そもそも、「同一賃金同一労働」ってのは、かつて一般的だった「終身雇用制」と相反するでしょ。終身雇用制ってのは、下層の若い人ほど安い賃金で奴隷の様に動き回り、肩書きの付いた上級社員ほど妖精となり、大した仕事も無く高給を持って行く(かなり偏見あり、笑)、という図式。それが成立したのは、終身雇用が大前提だったから。

その図式のまま、アルバイト・非正規を「都合のいい正社員」として使おうとするところに、問題が有るような気がするなぁ。同一労働同一賃金を目指すのなら、企業・組織・団体の構造から変えなきゃダメなような気がする。でも、これを突き詰めると、「社員全員、非正規でOK」ということになってしまう。正社員が必要なくなる。あらら、なんか、目標が見えてきたような...

アルバイト・非正規を正社員並みの待遇に出来ないのならば、ここは逆の発想、正社員を全員、アルバイト・非正規と同じ扱いにしちゃえばよろしいのございます。そう、終身雇用制をぶっ壊すのでございます。アルバイト・非正規の人の待遇改善は、日本がどうやって終身雇用制の残夢から抜け出せるか、にかかっている様な気がいたしますが、どんなもんでしょう?

「都合のいい女」なんて語が流行った時代がございました。あまり都合良く使っていると、そのうち、都合のいい女の反逆、なんてことも起こり得ますよ。お気を付けて。では、では。


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