店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
コロナの影響も有って、今、日本中が「ハンコ」を無くそうという方向に大きく動いております。もうね、ハンコ業界が戦々恐々。そんな中で、ワタクシが思い出すのは、昨年末に日本経済新聞などで大きく報道された「自動ハンコロボット」でございます。
書類をスキャンし、何の書類でどこに押印するかを自動判別し、ハンコを持ち替え、朱肉を付け、書類の所定の位置に押印、書類をめくる、書類を種類ごとに分類する、そこまで自動でございます。ご丁寧な事に、朱肉や押印の際の「グリグリ動作」まで再現しているというから驚き。この機械を、何と、日立、デンソーといった最先端メーカーが本気で作っているのでございます。
こんな機械、絶対、日本人で無ければ考えつかない(笑)。押印という因襲を別のシステムに置き換えるのではなく、その人間的な作業を最先端の技術で肩代わりしてしまおうという強引な手法。で、それを実現させてしまうのだから、更に驚く。さぁサービスを開始しようとした矢先に政府に「ハンコを無くす」と言われるとは、露ほどにも思わなかったでしょうねぇ。
見方によっては、「この世の中で一番無駄で高性能な機械」とも言える。ただ、あながち否定も出来ない。日本の技術革新って、「合理性よりも哲学が優先する」場合が、多々あるからでございます。ロボット開発なんてのも、そんな感じがいたしますねぇ。
日本のロボット開発は、やたら「二足歩行」に拘っております。もう半世紀くらい前から研究を重ね、それがASIMO君(HONDA)のいかにも人間的な歩みに結びついたりしてる。ところが、欧米のロボット開発ってのは、あっさり二足歩行を切り捨てて車輪にしたり、バッサリ上半身だけにしたりとか(笑)。確かに、二足歩行に膨大な研究リソースを割(さ)くよりも、車輪で事足りるならその方が合理的でございます。
日本のロボット開発は、どこまでも「鉄腕アトム」を追いかけているのだと思いますよ。実用的である前に「夢」を実現させようとしてしまうのでしょうね。冒頭で紹介した自動ハンコロボットも、どこか技術者の「夢」を感じてしまう。夢を追いかけたばっかりに、本来しなくて良かった紆余曲折もあったと思いますよ。