店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
ここ数十年で、世の中はすっかりデジタル仕様になっております。それ以前の時代では、世の中の全ての家電や機械というものはアナログ仕様、アナログ的な操作だったのですよね。でね、世の中の人々が、最初にデジタルの片鱗に接した瞬間、それって、電話機のプッシュボタンの様な気がするなぁ。
もちろん、電話の仕組みが完全にデジタルになるのは、もっともっと後のお話でございますよ。ただね、それまで当たり前だったダイヤルを「回す」という動作が、ボタンを「押す」というのに変わるだけで、すごい近未来を感じたものでございます。その後、次々と、ツマミやダイヤルがボタンへと置き換えられていくのでございます。
ワタクシ個人的に衝撃的だったのは、デジタルシンセサイザーの登場でしょうか。楽器というものにデジタルの波が訪れた時、楽器から「ツマミ」がことごとく消え、ボタンだけになっていったのでございます。確かにそんなボタンだらけの楽器は当時では斬新だったのですが、最近は逆に、アナログ的なツマミやダイヤルをデジタルな仕組みで再現するものも増えてまいりました。
楽器の演奏というのは超アナログ的な所作。その楽器と人間との接点となる部分は、当然、アナログ的なツマミやダイヤルの方が合っているのでございます。デジタル楽器黎明期にそれをやらなかったのは、デジタルを前面に出すというデザインも有ったのでしょうが、そもそもツマミやダイヤルの操作をリアルタイムで処理するには、当時のデジタルでは荷が重すぎたというのもあるでしょう。
家電が急激にデジタル化したのは、家電用の小さなマイクロコンピュータが発明されてからでしょうね。単なるスイッチを「入れる」「切る」という動作ではなく、「自動で○○する」という機能の家電には全て、マイクロコンピュータが入っております。制御しているのがコンピュータですから、デジタル楽器の理由と同様、ボタン操作にした方がシンプルでコストも下げられる。家電からも、ツマミやダイヤルがことごとく消えていくわけでござます。
デジタルな仕様が世の中に浸透しまくった昨今、次なる流れは、「懐古」だと思いますよ。昨日も少し申し上げましたが、アナログをまったく知らない世代にとっては、アナログな仕様というのはむしろ斬新なのですよね。レコードやカセットテープがジワジワと復活しているのをご存じですか? ブラックボックスから音が出るのではなくてレコード盤やテープリールが実際に動く様子というのも、デジタル世代の琴線に触れるのでしょうね。
そうそう、店舗の照明というのも、かつては白熱電球を調光して薄暗くするというのが定番でございました。オレンジ色のやわらかい、かつ妖しい光になるのでございます。その微妙な調整が、LED電球になってからは難しくなったのでございますよね。調光機能の有るLED電球もございますが、白熱電球ほどの幅広い調整範囲は無いのでございます。