店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
「生きるとはどういうことですか?」、ある弟子が、ブッダに質問をしました。するとブッダが答えました。「虫を小鳥が啄(ついば)み、その小鳥を鷹が捕食する。虫や小鳥は、次の瞬間に自らに死が訪れるということを予期していただろうか? 生きるとはそういうことです」
ツイッターで、「100日後に死ぬワニ」という4コマ漫画が、ちょうど100日前から1日1作のペースでカウントダウンをしながら掲載を続けておりました。読者はこの100日間を、何気ない普通のワニの日常に寄り添い、そして100日目には題名の通り、突如の事故死で最終回を迎える。そんな漫画でございました。
作者のイラストレーターの方は、友人の事故死をきっかけに思い立った作品とか。確かに、読者はワニの運命を知りつつも、漫画の中では何気ないワニの日常風景が続いていく。それを1日1作のペースでカウントダウンをしていく。作品のコンセプトは非常に秀逸。多くの読者が、共感・感動をしたのも、うなずけるのでございます。
では、なぜこれが炎上したのか? 最終回とほぼ同時に、「書籍化決定」「映画化ウンヌン」という報告がアナウンスされたのでございます。これを見て、「なんだ宣伝か」「電通が絡んでるんじゃねぇの?」と大騒ぎ。炎上騒ぎに至ってしまったのでございます。
でございます。100日間、只で作品を鑑賞していて、その只の物に、何、文句言ってやがるんだ! クリエイターは、作品に時間もコストもかけてる。いや、その技術を身につけるまでに、もっと長い時間と多くのコストもかかってる。スマホ画面を指先で弾いて、日々、暇つぶしに明け暮れている人間が、「裏切られた」とか言うんじゃねぇ!(個人の感想です)
まぁね、感動が大きかった分、裏切られたという思いに走ったのでしょうね。作者の方も、もう少し、読者に「余韻を楽しむ」ためのインターバルを与えても良かったですよね。ただ、これをきっかけに、この作者の方が大成して行くことになったりすれば、それはそれで喜ばしい、そう思っております。
感動しても、その感動の裏側に営業が貼りついていると知ると、途端に興ざめする。日本って国は、感動や善意を純粋(純血)に考えすぎるきらいがございます。災害などで支援をすると、「偽善だ、売名行為だ」と騒ぐ人が出てくる。ワニの作品でも、素直に喜び、感動し、その作品が大資本の援助を受けて世に広まっていく、それを単純に喜べばいいのにね。あぁ、みみっちぃ、みみっちぃ。
これね、ベンチャー企業の立ち位置でも、日本的な純血思想が現れる。アメリカのベンチャー企業ってのは、良い技術、良い製品を作って、大企業に「吸収」されるのが目的。クリエイターは、その吸収で得た資金で、また新しいことにチャレンジするのでございます。