店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
それを聞いて、ほぼクラス中がK子に向かって、「やっぱり、何か腹の中にいる」「ばい菌だ!」「きったねぇ~」という声が飛び交った。先生は気まずそうな顔で成り行きを見守るだけ。かのK子はと言うと、斜め下を向いたまま、じっと唇を噛んで黙っていた。
そのK子、普段からややイジメの対象となっていた。家が貧乏なのか、着ている服に少し清潔感が欠けるところがある。そんなこともあったので、検便の話題が出たときには、ほぼクラス中の男子が「ほら見たことか」と騒ぎ出すはめになってしまった。ただ、オレだけは、その騒ぎの理不尽さに、子供ながらにむしろ腹を立てていた。
幼少期から、オレは自分の心の中に潜む「女」を自覚していた。でも、それは絶対に他人に悟られてはいけないことであった。悟られたが最後、「オトコオンナ」「気持ち悪い」といった罵(ののし)りの言葉で、心底傷つくことになるから。そういう時代だったのである。