店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
セブンイレブンのキャッシュレス支払いが、相当のザル仕様だったことが、次々と判明しております。専用パスワード2種を新たに用意し、自分の手帳にしかそのパスワードをメモしなかったなんて人も、不正利用されちゃってます。これは完全に、システムがハッキングされておりましたねぇ。そして最悪なのは、そのシステムがハッキングの痕跡すら追及出来ない仕様だったことでございます。
さて、今日はセキュリティのお話から始まりましたが、お店にもセキュリティはございますよ。と言っても、鍵とか戸締まりって話ではございません。「人間関係のセキュリティ」でございます。まずは逸話として、ワタクシが歌舞伎町のショーパブで働いていた頃のお話をいたしましょう。
当時、と言っても25年くらい前のお話ですが、歌舞伎町には「老舗(しにせ)」と言われるゲイバー・ショーパブが何軒かございました。老舗って言うくらいですから、どのお店もお互いにお付き合いが長く仲が良い。それで、各お店の店長・ママさんが毎週末に集まって、麻雀をするのが恒例行事となっておりました。
え? これがセキュリティと何の関係があるのかって? まぁまぁ、お聞きなせぇ。麻雀っていいますと、ひとつテーブルで何時間も向かい合っております。当然、世間話のひとつやふたつ、みっつや十や百、するわけでございます。するってぇと、これまた当然、お店の話、お店の従業員の話に花が咲いたりいたします。
各お店の首長同士が仲が良いってのは、従業員にとってはチョイト困った事もございます。「抜け駆け」が出来ないのでございます。こっそり他のお店の面接を受けに行ったりすると、その翌週にはバレてる。首長同士で情報交換してますので、お店で何かトラブルを起こして退店したときなんてのも、その詳細が他の全店舗に筒抜けになっております(笑)
つまり、日頃からコミュニケーションを取り合うってのが、一種のセキュリティになるってことでございます。これは、昔ながらの近所づきあいが防犯に役立つってのと同じ原理でございますね。今申し上げたのは、店舗間のセキュリティでございましたが、この理論は、店内の人間関係にも有効なのでございます。
だいたいどんな団体にも、人を揉めさせるのが好きな人ってのは居るもので、Aさんの所へ行っては「Bさんがあなたの悪口を言っていた」と告げ、Bさんへは「Aさんが(以下同じ)」と言う。そんなトラブル製造器が居たとしてもですよ、もしAさんとBさんが密にコミュニケーションを交わしていれば、そんな妄言に振り回されることも無いのでございます。
これは、仕事上の接点の多さとは別に、仕事帰りにみんなで居酒屋へ寄りチョイト一杯なんてのも、十分にセキュリティの一環となるわけでございます。では具体的に、普段からコミュニケーションが多いと何が変わるのでしょうか? それは、「不信感のしきい値」が高くなるのでございます。
人というもの、常に何らかの「不信感」を抱きながら他人と接しているものでございます。しかし、頭ごなしに疑ってかかるわけにもいかず、かと言って性善説で信用しきる事も出来ず、だいたい、不信感のグレーゾーンで人付き合いしているものでございます。グレーゾーンですから、些細な事で針がレッドゾーンへ振れたりもいたします。「不信感のしきい値」が高いということは、多少針が振れても、なかなかレッドゾーンへは行かないという事でございますね。
同じ出来事でも、しきい値が高いと「相手に何か事情があった? 自分の勘違い?」といった思考に流れる。ところが、しきい値が低いと「騙されてる? 何か企んでる?」といった方向へ思考が流れていってしまう。不信感のしきい値が低い人間関係ってのは、トラブルメーカーのご馳走なのでございます。
これは世間一般論ですが、最近は若い人が他人とコミュニケーションを取りたがらなくなってる。会社帰りにみんなで居酒屋へなんてシチュエーションも少ないのではないでしょうか? で、ネットとは密接に繋がってる。いやぁ、不信感のしきい値、ダダ下がりだと思いますけどねぇ。