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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2019-02-24 【晩年は何喋ってるかわかんなかったけどね】

日本って国はね、古来からの伝統芸能を自ら捨ててしまうって愚行を、過去2回やらかしております。1回は、明治維新後の西洋かぶれ。西洋のものを無批判に賛美し、この時期に多くの浮世絵や陶磁器が海外に流出しております。

もうひとつは、終戦直後でございます。アメリカ文化がなだれ込むのに伴い、日本の伝統芸能を軽んずる動きが強くなり、この時期に能や歌舞伎が大打撃を受けております。どうも「○○直後」というのに弱いのでしょうか、世の中の価値観が大きく変わった時に、新しい風にかぶれやすい民族の様でございます。

で、そんな終戦直後に能や歌舞伎が廃れていく中、日本の伝統芸能の素晴らしさを力説し、翻訳し、世界中に知らしめようとした人がいらっしゃいました。ドナルド・キーン氏でございます。それをきっかけに、キーン氏は生涯を日本文学のために捧げることになるのでございます。

東日本大震災の時も、多くの外国人が日本から逃げ出すのを目撃し、それを憂い、あえてその時期に日本国籍を取得しております。名前もカタカナに変更するという念の入れよう。終始、日本に寄り添い、日本とともに生きてこられた方でございます。

日本人がついつい見過ごしている伝統芸能や文芸の素晴らしさを、「あなたたちは、こんな素晴らしい物を育んできたのですよ」と知らしめ続けてきた人でございました。ありがとうございます。そして、ご冥福をお祈りいたします。


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