店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
ワタクシ、なか卯で、遅めの朝ご飯を食べておりました。鴨が好きでねぇ~~、と、まぁ、それはどうでもいいことなのですが、食べてましたら、品の良い年輩の女性の二人連れが入ってまいりました。ファーストフード店とか初めてなのでしょうか、キョロキョロしながら食券も買わずに席に座って食べる物を相談しておりました。
その二人、店員に促されて券売機の前まで移動いたします。店員の指示に従いながら操作しますが、どうも画面操作が苦手な様子。困ったことに、店員さんが外国の方、日本語がかなりギリギリな様子。上手くコミュニケーションが取れていない感じでございました。
その女性の一人が、突然、壁に貼ってあるポスターの写真を指さして、「これがいいわ」と言ったのでございます。カタコト店員、ひと言「ノー」と返すだけ。不幸にも、その女性が指さしたポスターは、夜限定のメニューだったのでございます。
その後、二人の上品な女性とカタコト店員、三人が券売機をいろいろ操作しますが、結局、その女性二人は何も選ばずに出て行ってしまいました。ままならない券売機の操作、ままならない店員との意志の疎通、暗中模索の中、辛うじて選んだ希望のメニューをひと言「ノー」で片付けられ、心が折れてしまったのかもしれませんよね。
もう少し、店員とコミュニケーションが取れたら? もう少し、券売機の操作が分かりやすかったら? 何か、他人事ではありますが、ワタクシ、鴨蕎麦を食べながら悔しい思いに浸ったのでございます。外国人労働者や券売機に頼らざるを得ないファーストフードの事情もありますし、どこも、誰も、責められないのでございます。
こういったイレギュラーな事象が起きた時にどう対応出来るか、それがファーストフード店の「底力」だと思うのでございます。思えば、日本のファーストフードというのは、まったく「イレギュラー」を想定していない。全て「型」にはまったマニュアル通りの操作、マニュアル通りの接客に終始しているのでございます。
イレギュラーと言いますとね、アメリカ映画なんかのオーダーのシーンで、「ケチャップ多めで、ピクルスは抜いてね」なんて注文を普通にしております。日本でこれをやろうとすると、非常に面倒くさいことになる。これを見るに、イレギュラーな対応への耐性は、アメリカの方が圧倒的に高そうでございます。
日本の携帯電話がガラパゴス化していると話題になったことも有りましたが、日本のファーストフード店のシステムも、結構にガラパゴスでございますよ。特に、あの券売機。外国語にも対応しているとは言え、ただ文字だけ差し替えればいいというものではございません。
何が問題かと言いますと、「一目瞭然でない」のですよね。原因は「文字を読ませようとし過ぎる」こと。デザイナーが文字に頼りすぎているのでございます。いや、多分、デザイナーじゃないと思う。理系の技術者が設計している画面だと思うのでございます。