店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
「バイトテロ」なるものが流行っているそうでございます(笑)。バカだアホだ、損害賠償を請求しろとか、世の中がいきり立っております。ただねぇ、あの手のイタズラ、YouTubeなどには山の様に画像が有るのですよね。そういうのを見て育った人が、つい、「自分も」と思ったかも知れませんよねぇ。
多分、アメリカなどは、ああいったイタズラにはかなり寛容なのでしょうね。国民が銃を持つ権利のある国でございますよ。凶悪な犯罪も多い。それですから、「悪ふざけが違法となるしきい値」も、それなりに高くなっているはずでございます。
さて、アメリカの話は置いておいて、日本ではやはり、ああいったイタズラは非常に問題になるわけでございます。そこで、経済学に「効率賃金仮説」「補償賃金仮説」という考え方がございます。これはですねぇ、簡単に言いますと、不正を未然に防ぐとか、キツイ仕事の人材を確保するとか、そういうのには高い賃金が必要という説でございます。
「不正を働くと、今の安定高収入を捨てることになる」という意識から不正に対する抑止力が生まれるというのが、「効率賃金仮説」。「キツイ仕事だけど他の人より余分に給料をもらっているから続けられる」という意識で働き手を確保するのが、「補償賃金仮説」でございます。
でね、バイトテロが行われているような業種、コンビニだったりファーストフードだったりですが、この「効率賃金仮説」も「補償賃金仮説」も機能していないのでございます。それは、かなり給料が低めに設定してあるから。つまり、あのバイトさんたちは「失って困る物」が何も無いのでございます。そりゃぁ、テロにも走ろうってものでしょう。
この考え方をしますとね、バイトテロに対して、企業側は損害賠償を請求できないのでございます。低賃金の上に賠償まで来るかもしれないとなったら、誰がそんな業種で働くでしょう? ますます人材確保が難しくなるのでございます。ですから、該当者の解雇、食材の廃棄、それでウヤムヤにしちゃうでしょうね。根本的な人件費を上げるよりも、そっちの方がはるかにお安く済みますからね。
人ってのはね、努力して獲得した物ってのは、なかなか手放したくないものでございます。ファーストフードのバイトってのは、能力給がどれほど採用されているのでしょうか? 仕事に慣れ、能力が上がった時に補償金として賃金アップが有れば、先ほどの「補償賃金仮説」が効いてくるはずなのでございます。自力で獲得した補償金を手放したくないと思うからでございます。
企業側の人員配置にも、工夫が必要ですよね。補償賃金仮説が効いてない人ばかりだと、現場でテロが起きるかも知れないのは当然。だから、補償金をもらっている人を要所要所に配置して、テロの抑止力に使うのでございます。と言うか、そういった人を「育てる」という企業努力をどれだけして来ているのでしょうかねぇ?