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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2018-09-09 【ワタクシは、長針短針のアナログ派】

今日は腕時計のお話。まず、ワタクシが風俗のお仕事をやり始めたばかりの頃の、ある苦々しいエピソードをお話しするのでございます。

それは、ワタクシが東京のお店で働いていた頃でございます。今から25年くらい前かな。シャワーから戻ると、楽屋が何やら騒がしい。これは、あまり良くないことなのでございますが、先輩ニューハーフの何人かが、お客様の腕時計で品定めをしていたのでございます。

「私のお客の時計は○○だからドウタラコウタラ」「△△とか□□のブランドの腕時計のお客だと、アアシタコウシタ」なんて話題で騒いでおりました。で、話がワタクシに振られちゃったのでございますよね。

ワタクシ、元よりお客様の持ち物とかには全然興味はなかったのでございますが、入店して間がなかったゆえに、話に入ろう、話を合わせようとしてしまい、「私のお客、カシオなのよねぇ」とポロッと言ってしまったのでございます。

今でこそ高級品も出しておりますが、当時はまだ、カシオは「廉価デジタル」というイメージ。お客様を見下す気持ちなど毛頭なかったのですが、気取ろうとしてチョイト格好つけて出た言葉でございました。

で、プレイルームに入ろうとしたところ、なぜかドアが数センチほど開いている。ワタクシの閉め方が雑だったのでしょう。運悪く、そのプレイルームは楽屋のすぐ隣。楽屋の出入り口はカーテン1枚。先ほどのやり取りが、プレイルームのお客様の耳に届いた可能性は高い。「アチャァ~」と思いながらも、何食わぬ笑顔でお部屋に入ったワタクシでございました。

お客様は、かなり年輩の物静かな方。何事も無く、普通に接客して、普通にお返しして、お部屋の片づけをしようとして、気づいたのでございます。テーブルの上には、お客様のカシオのデジタル時計が残されておりました。物静かな優しそうなお客様の、精一杯の抗議だったのでございましょう。

この実に苦々しいエピソードは、今でもワタクシの心にグサリと刺さったままでございます。お客様の顔、残された時計、その時の情景が、今でもクッキリと脳裏に刻まれております。お客様は和(にこ)やかに帰って行かれましたが、きっと、悲しい、淋しい思いをして帰って行かれたのかも知れません。今でも思い返しますと、胸が詰まるのでございます。

そんな苦い体験を思い出させるカシオですが、ワタクシ、今ではカシオの腕時計の愛用者でございます。お店を始めたときに「腕時計が必要だな」と思いまして購入したのが、たまたまカシオ。今は無き栄の「ウォッチマン」にて、その当時出始めておりました電波ソーラー式の腕時計を購入したのでございます。

その18年間使っていた腕時計、数年前から電波を受信しなくなっておりました。電波は受信せずとも、ほとんど狂い無く動き続ける健気(けなげ)な腕時計ではあったのですが、ここのところ充電が追いつかず、頻繁に電源落ちが発生。内蔵電池がかなりへたっているのでしょう。

ということで、18年ぶりに腕時計を購入。やはり、カシオの電波ソーラー。購入したお店は栄の「ドンキホーテ」。そう、奇しくも「ウォッチマン」の跡地に出来たお店でございます。特に場所を意識したわけではございませんでしたが、後から「あぁ同じ場所だ」と気づいたわけでございます。

まぁ、ちょっと自慢というか余談ですが、オープン当初に電波時計が必要な理由が有ったのでございます。当時は当日予約のみ、そして「予約はお昼の12時の時報から」と決まっておりました。そして、人気歌手のコンサートの電話予約よろしく、12時の時報に一斉にお客様の電話が集中したのでございます。

ここでね、公平を期すために、「時報前の電話は一切取らない」というルールを定めておりました。その時報の瞬間を正確に得るために、電波時計が必要だったのですよね。そんなルールを決めなければいけないほど、多くの予約が時報前後に集中したのでございます。まぁ、今となっては懐かしい思い出。当時の名古屋は当店のほぼ独占状態でしたから。

さて、腕時計は新しくなりましたが、困ったのが今まで使っていた古い時計。電波受信不能、電池はポンコツ、バンドは4代目、そんな状態でも健気にほとんど狂い無く動いている。しかも18年間、毎日、身につけておりましたから、もう愛着が湧いて、どう置いておくものか、どう処分したものか、悩んでいるのでございます。

世の中には、何本もの腕時計を所有して日替わりで身につけるなんて人もいらっしゃいますが、ワタクシはそれが出来ない。イチズなのかなぁ? では、では。


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