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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2018-07-17 【ゲームの課金、気がつくと数千円とか使ってない?】

雑誌の号数ってのは、チョイト先の日付だったりいたします。エ~ト、どういうことかと申しますと、例えば、7月に発売されるのが「8月号」だったり、7月17日に発売されるのが「7月24日号」だったりするわけでございます。当たり前のこととして、みんな無意識で受け入れちゃってますが、これには雑誌の特殊な事情が有るのでございます。

雑誌というもの、日本中のあちこちで分担して印刷するという訳にはいかないのでございます。なぜなら、「版」が必要だから。高価でかつ1回限りの版をいくつも作るわけには行かない。ですので、一つの工場で大量に印刷、そして全国に配送するという形になるのでございます。

この配送のタイムラグが、意外と大きい。数日とか平気でかかっちゃう。雑誌は定価が決まっているので、配送に大きなコストをかけられない。で、他の発売日のものと一緒に送ったりして配送コストを抑える努力をしているのですが、その分、時間がかかっちゃうのでございます。

さぁ、何となく分かりましたでしょうか? つまり、日本の端っこや離島ほど、雑誌の発売日は後ろへずれ込むわけでございます。そのため、雑誌の号数はちょっと先の日付を付けてもよろしいと法律で決まっている。都会で住む人には早すぎる号数ですが、遅れて届く人達には丁度良い号数となるわけでございます。

週刊少年ジャンプが、先週号の内容をネットに公開いたしました。豪雨災害の最中に発売されたこの号は、まともに配送されておりません。トラックが被害に遭い、配送不可能になっている地域が有るのかもしれません。その措置として、なんと、ネットで、無料で、全ページ、読めるとのこと。集英社の粋な計らいでございますね。

雑誌・書籍の配送は、流通の大きな負担となっているとチョイト前に申しました。雑誌・書籍というのは、発行元である出版社が数千社もありまして、出版社から問屋に送られてくるわけでございます。問屋が取りまとめて、各地方、各書店への「配本」を決め、問屋から書店へ配送されるという仕組みでございます。

この問屋の作業が、これまた大変。どの書店へどの本や雑誌を何冊配本するかは、その書店の「販売実績」に依るのでございます。つまり、書店ごとに内容も冊数もバラバラ。各書店への荷を取りまとめ、地域分の荷を一緒にトラックに詰め、トラックの運ちゃんは荷を間違えないように注意しながら各書店へ配送。これが、毎日、繰り返されるのでございます。

ワタクシが書店で働いていた頃は、まだコンビニが生まれる前。以前よりも書店は減りましたが、今はその何倍もコンビニが増殖している。荷の取りまとめや配送の複雑さは、輪をかけて大変になっていると思われます。取りまとめは、まぁコンピュータがある程度お役に立てますが、配送はトラックによる人海戦術ですからねぇ。

流通が経済の生命線になっている昨今、雑誌に依って流通に大きな負担がかかるというのは、全く無駄! 全然、無駄! しかも、雑誌というのは新しい号が出ると、古いのは「紙くず」に変わるわけでございます。雑誌流通の20%くらいは、紙くずを運んでいるのでございます。

そこで、先ほどの週刊少年ジャンプのネット公開を思い出して頂きたい。もっと、もっと、電子版を普及させるべきでございます。そうすれば、発売日のタイムラグもなくなる。コンビニや書店は「見本」だけを置いておき、気に入ったらレジで決済すれば電子版を購入出来るというシステムでもいい。

ここでね、週刊漫画雑誌の出版社は、漫画を切り売りするという英断も考えてみてはどうでしょうか? アップルが iTunes でミュージック販売を始めた時、アルバム単位ではなく1曲ずつ購入出来るというシステムで大成功を収めたのでございます。数千円のアルバムを買うのは抵抗が有るけど、¥200で1曲購入なら気軽にポチッとやってしまう。当時、すでに「課金感覚」の到来を先読みしておりましたね、アップルは。

ミュージック配信も電子書籍も、日本では大きく後手に回ってしまったのでございます。これは、権利とか違法コピーとかに慎重になりすぎて二の足を踏んでいたから。あぁ、実にもったいない。「安くてお手軽なら、面倒な手順で違法コピーするよりも、数百円を払った方が良い」といった感覚が、今は世界のスタンダードなのでございます。iTunes の大盛況がそれを証明しております。

先日、雑誌の内容を無段でネットに上げて無料で読めるようにしていたサイトが問題になり、閉鎖させられるに至りました。もちろん、違法行為ですから当然ですが、これは、「ネットで気軽に、自分の好きな漫画だけ読みたいという需要が相当量ある」ということの証明でもございます。どうして、漫画雑誌の出版社は、その需要を取り込もうとしないのでしょうかねぇ。あぁ、もったいない。

さて、長くなりましたので、そろそろこの辺で、お開きにいたしましょうか。電子書籍に大きく移行すると、印刷業や製紙業が大変になっちゃいそうで少し心苦しいのですが、まぁ、時代の流れってのはそういうものでございます。では、では。


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