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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2018-02-23 【「お待たせしました」が口癖になってませんか?】

フィギュアスケート女子では、宮原知子さんが4位に入賞いたしました。おめでとうございます。その宮原知子さんへのインタビューで、ひと騒動起きているようでございます。

あるインタビュアーは、「ショートもフリーも自己ベスト、4位入賞おめでとうございます」と切り出す。また別のインタビュアーは、「宮原選手にとっては(メダルが取れなくて)残念な結果でしたね」と切り出す。この残念な結果と言ったインタビュアーが、非難の嵐にさらされております。

「おめでとうございます」と切り出したインタビュアーは、宮原選手に祝福の思いを寄せる気持ちで言葉を発しております。気持ちが相手に向いております。では、「残念」と切り出した人は、何を持って、そういったのでしょうか?

その「残念」という気持ちは、インタビュアー自身の気持ちなのですよね。自分が残念と思ってしまったから、口に出ちゃったのでしょう。相手の顔が見えておりませんね。まぁ、インタビュアーの気遣いも足りませんけど、放送局も事前にガイドラインを作っておくべきことですよね。

今度は、インタビューを受けた時の宮原選手の気持ちに、思いを寄せてみましょう。「おめでとうございます」と言われれば、当然、誇らしい気分になれるでしょう。しかし、「残念」と言われたら、はたして自分の成績を誇らしく思えるでしょうか?

4位という結果は不動でございます。しかし、「おめでとう」と言われれば誇らしくなり、「残念」と言われれば惨めに感じる。人の感情というものは、それほどに、かけられる言葉に簡単に染まってしまうものなのでございます。ですから、言葉選びというのは、時に、慎重にならざるを得ないのでございます。

ワタクシ、お店でのお客様の誘導で、「お待たせします」「お待たせしました」という語は極力使わないようにしております。本当にお待たせした場合は、もちろん言いますよ。でも、日常の普通のタイミングでご案内出来た場合は、絶対に言いません。

これも、先ほどのインタビューの例と同じでございます。待たされてないのに「お待たせしました」と言われれば、「あぁ、待たされたんだ」と思わせてしまう。これはマイナスですよね。逆に、何食わぬ顔で「では、ご案内しますね」と言えば、お客様は単に、通常の流れで案内されているとしか思わない。余分なことを思わせないというの、おもてなしの基本でございます。

また、「お待たせします」の代わりには、「すぐご案内します」を使います。「お待たせします」と言われれば、「これから待たされるのだ」とお客様は身構えます。逆に「すぐに...」と言えば、「待たされなくて済みそうだ」と考えます。待たせた時間は同じでも、言葉の選び方ひとつで、お客様は待たされた気分になったり、ならなかったりするのでございます。

あるいは、こんなこともございます。お店が立て込んでいる時に、持てなす側がバッタバッタと慌てまくっていたら、お客様は「こりゃ大変な時に来た、待たされるかな」と思うものでございます。逆に、そんな時にもかかわらず、静かに誘導されたなら、「あぁ、いつもこんな感じなんだ」と安心するでしょう。もてなす側のこんな立ち振る舞いひとつにも、お客様の印象は正反対に変わるのでございます。

何日か前に、日本の選手は成績が悪いと謝ってしまうというお話をいたしました。これと同じ感覚が、インタビュアーの方にもあるのでしょうね。で、つい、「残念」という言葉が出てきてしまう。ただ、同じアスリートでも若い選手だと、欧米人のように素直に結果を喜ぶという人も増えているそうでございます。「成績が悪くて残念」「メダルが取れなくて残念」という感覚も、少しずつ薄れていくのではないでしょうか。では、では。


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