店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
あるインタビュアーは、「ショートもフリーも自己ベスト、4位入賞おめでとうございます」と切り出す。また別のインタビュアーは、「宮原選手にとっては(メダルが取れなくて)残念な結果でしたね」と切り出す。この残念な結果と言ったインタビュアーが、非難の嵐にさらされております。
「おめでとうございます」と切り出したインタビュアーは、宮原選手に祝福の思いを寄せる気持ちで言葉を発しております。気持ちが相手に向いております。では、「残念」と切り出した人は、何を持って、そういったのでしょうか?
その「残念」という気持ちは、インタビュアー自身の気持ちなのですよね。自分が残念と思ってしまったから、口に出ちゃったのでしょう。相手の顔が見えておりませんね。まぁ、インタビュアーの気遣いも足りませんけど、放送局も事前にガイドラインを作っておくべきことですよね。
今度は、インタビューを受けた時の宮原選手の気持ちに、思いを寄せてみましょう。「おめでとうございます」と言われれば、当然、誇らしい気分になれるでしょう。しかし、「残念」と言われたら、はたして自分の成績を誇らしく思えるでしょうか?
4位という結果は不動でございます。しかし、「おめでとう」と言われれば誇らしくなり、「残念」と言われれば惨めに感じる。人の感情というものは、それほどに、かけられる言葉に簡単に染まってしまうものなのでございます。ですから、言葉選びというのは、時に、慎重にならざるを得ないのでございます。
ワタクシ、お店でのお客様の誘導で、「お待たせします」「お待たせしました」という語は極力使わないようにしております。本当にお待たせした場合は、もちろん言いますよ。でも、日常の普通のタイミングでご案内出来た場合は、絶対に言いません。
これも、先ほどのインタビューの例と同じでございます。待たされてないのに「お待たせしました」と言われれば、「あぁ、待たされたんだ」と思わせてしまう。これはマイナスですよね。逆に、何食わぬ顔で「では、ご案内しますね」と言えば、お客様は単に、通常の流れで案内されているとしか思わない。余分なことを思わせないというの、おもてなしの基本でございます。
また、「お待たせします」の代わりには、「すぐご案内します」を使います。「お待たせします」と言われれば、「これから待たされるのだ」とお客様は身構えます。逆に「すぐに...」と言えば、「待たされなくて済みそうだ」と考えます。待たせた時間は同じでも、言葉の選び方ひとつで、お客様は待たされた気分になったり、ならなかったりするのでございます。