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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2017-09-08 【信じるものは、救われる】

Eテレの『オイコノミア』という経済学の番組がございます。先日の放送の内容が、非常に興味深かったのでございます。「経済学で考える、人生は運か努力か?」というタイトルで、「運」というものを経済学的に分析していたのでございます。

人は成功した時、その成功が「運」なのか、あるいは自分の「努力」なのかを考えるのでございます。大抵は、「運」と「努力」の両方が作用しているものでございますが、そのどちらにウェイトを置くかというのは、本人の個性に因るのでございます。

ここで、経済学的に面白い統計が有るとのこと。税収入的には「運」にウェイトを置く人が多い方が、社会が潤うのだとか。運で成功したと考える人は、納税や寄付をし易いそうでございます。逆に自分の努力にウェイトを置く人は、納税や寄付に関しては財布の紐が固くなるらしいのでございます。

さて、ここで、ワタクシ的に、客商売での「運」と「努力」の関係を分析いたしましょう。サービス業、特に客商売というのは、「運」も「努力」も両方とも必須なのでございます。特に最近は、お客さまの流れが予想しにくい。ですので、「来店」というのはある意味「運」なのでございます。その運が巡ってきた時に十分な接客が出来るかは、日頃の準備、つまり「努力」なのでございます。

運が良くお客さまに恵まれる人も、日頃の努力を惜しんでその運を取りこぼすこともございましょう。また逆に、日頃の努力を重ねても、なかなか運に恵まれない人もございます。そういう人は、どこかで心が折れてしまい、少ない運を取りこぼすやも知れません。運と努力、どちらに偏ってもうまく行かない。客商売は、バランス感覚が必要なのでございます。

これとは別に、商売にはもっと大きな運のうねりがございます。1ヶ月とか、半年とか、あるいは1年とか数年とか。そんな大きな周期の「運」「不運」の波が有るのでございます。この周期は、やはり読めない。今のうねりが、いつ、うねり返すのかは商売の神様しだい。では、この大きなうねりに、「努力」がどう絡んでくるのかお話しいたしましょう。

経済学において「運にウェイトを置く人は、納税や寄付をし易い」というのが冒頭のお話。これを客商売的に言い換えますと、「納税や寄付」に当たるのは「投資」でございます。つまり、「運を信じる人は、投資をためらわない」「運を信じない人は、投資が出来ない」ということになるのでございます。

商売は、運だけでもダメ、努力が必ず実るとも限らない。運が巡ってきた時に適切に投資することが必要なのですが、それも必ず成功に繋がる保証は無い。いやぁ、不確実性理論満載なのが商売なのでございます。ただ、その「投資」さえも出来ないと、その後の不確実性どころか確率はゼロになるわけでございます。

「運」を信用できない人は、「ここぞ」という時に「投資」が出来ないのですよね。この「投資」、必ずしも大きな額ではございませんよ。「運」の種類や大きさによっては数百円かもしれない。投資をためらわない人は、小さな運であろうと常に投資を続け、その内のいくつかが大きく実を結ぶかも知れない。投資が出来ない人は、常にためらい続け、運を取りこぼし続けるのでございます。

「投資」って書くと、株や不動産の様な何か大きなものを想像しちゃうでしょうが、ここでいう投資は「自分への投資」。服を新調するとか、アクセサリーを買うなんてのも自分への投資。上質の商売道具を調達するとか、知識を身につけるために本を購入するとか、それが必要となった時にためらわずに手に入れようと出来ること、それが投資なのでございます。こうやって書くと、自分への投資ってのは、ある意味、「努力」でも有るのでございます。

そして、投資ですから、無駄に終わることもある。「投資できる人」というのは、最初からこの「無駄になる可能性」を折り込み済みで投資している。たった1つの投資で元を取ろうとは考えておりません。いくつかの投資の中で何かが当たり、トータルでプラスになればいい、そう考えるのでございます。

以上、まとめますとですねぇ、まずは「運を信じる」ことですね。努力も当然必要ですが、この世は運で回っているんだと割り切ること。割り切ることで、投資への勇気が出てまいります。そして、運が巡ってきたと感じたら、すかさず自分に投資。すぐに結果が出なくても、この投資はいつか実を結ぶと考えるプラス思考。そして、トータルで浮き上がれば良しと考える、全体を見る目。

どうでしょうか? まぁ、こんな筋書き通りに事が運ばないところに商売の難しさがあるのでございますけどね。参考にしてくださいませ。では、では。


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