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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2017-05-29 【男磨きという語も流行らせよう!】

ちふれ化粧品が、広告に「ある言葉」を使ってしまったために、その広告を取り下げるという騒ぎになっております。その広告の文面だけを、引用いたしましょう。

”忙しい”を理由に諦めてない?
  時短美容で 女磨きを 始めましょう
仕事、家事、育児……。 いつのまにか「女磨き」を おろそかにしていませんか? 時短美容を活用すれば、 忙しい日常と女磨きは ちゃんと両立できるんです。

といった文面。この「女磨き」が問題だったようですね。「女磨きを”強要”されているようで不快だ」という意見が有ったそうでございます。

では、この女磨きを別の言葉に置き換えてみましょうか? まずは、「歯磨き」、歯磨きをおろそかにしていませんか? ふむ、これは問題ない。同様に「靴磨き」も問題なさそう。「人間磨き」、これも、あまり違和感を感じない。まぁまぁ大丈夫っぽい。

次に、「男磨き」、男磨きをおろそかにしていませんか? 男磨きという語があまり馴染みがございませんが、これを言われた男性が不快に感じるかと聞かれれば、それほど気にしないかなぁ。ということは、「女」という語に引っかかった人が、不快に思っているのでしょうか?

別のアプローチをいたしましょう。「始めましょう」を「応援します」に変えてみるのでございます。「時短美容で、女磨きを応援します」とすると、おぅ、これは行けそう。応援すると言われて、それを不快に感じる人はいないでしょう。と、すると、問題だったのは「始めましょう」という語だったのでしょうか?

何となく見えてきましたよね。「女」に限定するということもやや問題でしたが、一番のポイントは「始めましょう」と”強要”してしまったことですよね。「女に限定」+「それを強要」、この合わせ技で「一本! 勝負あり!」でございます。逆に、合わせ技のどちらか片方だけならば、多分、問題にならなかったかもしれません。

万人に愛されるキャッチコピーというのは、難しいのでございます。ちょっとした言葉の選択で、思いも寄らぬ人を不快にさせたり傷つけたりすることもございます。逆に、クレームが来るのを承知で過激なコピーを使うという、炎上商法的な広告も存在いたします。

当店の広告も、新聞広告は広告代理店の方が作って下さってますが、CityHeaven に関してはワタクシが全部自作してデータ入稿しております。かつて、『シーメール白書』『ニューハーフ倶楽部』という専門誌があった頃は、その専門誌の広告も、全部ワタクシが作っておりました。

ニューハーフ専門誌の広告ですと、かなり過激に攻められます。ニューハーフに興味のある人しか読みませんから、「女よりも快感!」とか「女では分からないツボを知っている」とか書くことも出来る。明からさまに「女性店で不快な思いをしたことはありませんか」なんてコピーを使ったこともございます。

これが、CityHeaven の様な女性店がメインの雑誌ですと、言葉選びも慎重でございます。「ニューハーフしか出来ないことがある」とか「女性もいいけど、ニューハーフもいいよ」なんて柔らかい表現にいたします。読者への不快感もとより、他の広告主に不快感を与えないという配慮も考えます。

ニューハーフ専門誌と CityHeaven とには、もうひとつ、大きな違いがございます。読者がこちらを向いているかどうかでございますね。専門誌は、明らかに興味津々で広告に向き合ってくれている。ですから、過激な言葉も使いやすい。しかし、CityHeaven の方は、特に興味を持っていない人にこちらを向かせるキャッチコピーが必要。自ずと、使う言葉も違ってくるのでございます。

さぁ、そう考えると、冒頭のちふれ化粧品のキャッチコピーも、「女磨きに向き合っている人が読む雑誌」ならば、使えそうでございますよね。しかし、誰が見るか分からない場所で使ってしまったことが敗因ということでしょうか? 読者がこちらを向いているかどうかの判断を、誤りましたね。いやぁ、キャッチコピー、難しいなぁ~~。


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