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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2017-03-20 【劇場には、安全祈願の神棚が必ずあります】

今日は春分の日。昼と夜の長さが同じ日。だいぶ日が長くなってきましたが、夏至に向けて、これからどんどん日が長くなってまいります。薄暗がりが苦手な夜盲症のワタクシとしては、ちょっとありがたいのでございます。

夜盲症、つまり「鳥目」でございますね。なんか、「鳥=夜盲症」みたいなネーミングでございますが、鳥類の中にはフクロウのような夜行性のものもございますので、必ずしも鳥だから夜目が利かないというわけでもない。フクロウも心外でございましょう。

夜盲症というと、よくビタミン不足が原因と言われますが、それは後天性夜盲症の場合。ワタクシのは先天性夜盲症ですので、遺伝性の生まれつき。ですので、治しようがない。でも、まぁ、注意深く行動していれば、日常生活にはそれほど支障はございません。自分の夜盲症とは、よい”お付き合い”をさせてもらっております。

子供の頃、映画館が苦手でしたよねぇ。上映中だったりすると、客席の中へ入っていけない。壁にピッタリ張りついて、目が慣れてくるのを待つのでございます。それが、30分くらいかかる。そのうち、スクリーンが明るい場面で、ぼんやりと見えたりする。その機を狙って、そそくさと客席に座ったりしておりました。

あと、恐い思いをしたのは、役者として舞台に立っていた頃。舞台というのは、場面転換で「暗転」というものがございます。舞台をまっ暗にして、その間に役者が入れ替わるのでございます。幕の下げ上げがございませんので、スピーディーな場面転換が出来るのでございます。

もちろん、本当にまっ暗にするというのは危険ですので、小さな灯りで舞台を照らしております。また、暗転した舞台に小さなミニライトを持った人が入ってきて、役者さんを誘導してくれる場合もございます。

この暗転中の登場や退場のときに、夜盲症の人は、まったく何も見えない。でも、舞台は進行して行く。慌てて行動して、大道具に思いっきり頭をぶつけるなんてことは、しょっちゅうでございました。

本田美奈子さんがミュージカル『ミスサイゴン』の公演中に、暗転の中で移動中に大道具のレールに足を引かれ、大怪我をするという事故がございました。あれなんかも、ワタクシはよ~く理解出来る。ひょっとすると、本田美奈子さんも夜盲症の傾向が有ったのかもしれません。

あと、舞台ってのは、「せり」が上がったり下がったりする。これも、危険きわまりない。舞台ですので、建築現場の様な安全帯なんて付けておりません。もちろん、演出の段階で、十分に安全を確保いたしますが、それでも、時々、下がっているせりに落ちるという事故は起きる。

まだまだ有りますよ~、舞台の危険。舞台では、高所作業がつきもの。スタッフは安全帯を付けているかもしれませんが、役者にはない。客席からは小さく見えても、舞台の大道具ってのは結構な高さがございます。5~6mの高さの手すりのないセットの上で踊ったダンサーの人、ワタクシは尊敬した覚えがございます。

なんか、夜盲症の話から、舞台の危険あるある話になっちゃいましたね。薄暗い、足下は動く、高所作業あり、安全帯なしと、建築現場なら絶対にOKが出ないような環境でございます。そんな場所で、夜盲症のワタクシが関わっていたのですから、よく死なずにすんで、良かったのでございます。

まぁ、こんな舞台のお話も、数十年前のお話、今の舞台はもう少し「近代的」になっているかもしれませんけどね。では、では。


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