店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
たまたまテレビの電源を入れましたら、昔の古〜いドラマを放送しておりました。NHK制作の『赤ひげ』という医療時代劇でございます。あおい輝彦が、まぁ何ともお若い。そして44年前のドラマにもかかわらず、最新のドラマのような鮮明でコントラストの効いた映像。NHKの映像修復技術、恐るべし!
「まったり」という語が使われなくなって久しいですが、そのまったりという表現が実に似つかわしい雰囲気のドラマでございました。昔はこんな、ノンビリしたテンポでドラマを作成していたのですよね。ドラマでも舞台でも、「間(ま)を開ける」というのはとんでもなく勇気がいります。と、同時に、その間を支える緊張感や演技力が必要となってまいります。
結果、十分な表現力を持ってした「まったり」には、重厚感や深みが出てまいります。最近のドラマがアップテンポなのは、勇気が持てないのかなぁ。あるいは、作り込む十分な時間が現場に許されていないか。または、現場の人達がこういった「まったり」に憧れを持っていないということかも。
さらに、これもたまたまなのですが、黒澤明監督の『夢』が放送されておりまして、こちらもしっかり見ちゃいました。やはり「まったり」とした流れ。「間」を存分にというか恐くなるほどの長い間を駆使しておりました。黒澤明監督の「腹の据わった演出」を感じ取れるのでございます。
さて、ここからが本題。紹介した2作品、どちらにも冒頭に「不適切な表現がありますが、原作の意図を尊重してウンヌン」というただし書きが入っております。確かに『赤ひげ」では「kichigai」というセリフが音消しもなく堂々と語られておりました。『夢』では、やはり、原発爆発のくだりがいろいろと問題のありそうなセリフ満載でございました。
この様な、いろいろ面倒になりそうな表現というのは、ちょっと前は大胆にカットされたり、ピー音で消されたりしておりました。最近は、カットせず、ただし書きを入れた上でオリジナルのまま放送されることが多いようでございます。
そこで、ワタクシ、ちょっと考えた。今、現在、多く制作されているドラマというのは、このただし書きを見たことない。というか、後からただし書きを入れなくてもいいように、「無難」な表現でとどめているということ? ドラマが冒険をしなくなったということなのでしょうか?