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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2016-11-25 【最初から座らない、これ最強】

なにやら、電車の中で席を譲る譲らないで揉めている動画が、話題になっております。実際の動画は見ていないのですが、どうも優先席に座っている若い人に向けて年輩の人が席を譲れと声をかけたとのこと。それに、真っ向から反発して言い合いになるという動画だそうでございます。

まぁ、この言い合いの是非を問うつもりはございません。ワタクシが注目しているのは、この動画に対するコメント。俳優の笹野高史さん(68才)が、「年齢は自分で決める、だから僕には席を譲らないで下さい」と言ったそうでございます。

ワタクシも、電車の中とかで席を譲るのは、難しいと考えております。妊婦さんとか体調の悪そうな人なら、まぁ「安心して」席を譲れます。一目瞭然でございますからね。でも、健康そうに見える年輩の人、こういった人には席を譲らない。もし「譲って欲しい」と言われたら、喜んで譲りますよ。でも、ワタクシの方からは、声をかけない。

笹野高史さんいわく、実年齢よりも老けて見えるのでよく席を譲られるとのこと。まだ舞台などでバリバリ活躍されている笹野さんにしてみれば、年寄り扱いを受けるのが釈然としないのでございましょう。気持ちは分かるのですけどねぇ、やはり、見た目、高齢に見えますからねぇ、笹野さん。

お話を、電車の中の席の譲り合いではなく、一般論に置き換えてみますよ。大人は子供や若い人に向けて、「○○はこうあるべき」と問いかけます。その一例が、この電車の優先席だったりするわけでございます。ところが一部の大人は、「こういう場合は、こうしなさい」と「例外」を指示したりする。

大人から見れば「臨機応変に動け」ということなのだが、子供や若い人から見ると「ダブルスタンダード(二重規範)」という矛盾を押しつけられることになる。この例外処理とか臨機応変っていうの、客商売では特に多い。そして、人気商売でも多い。と、いうことは、客商売かつ人気商売である「風俗」や「お水」では、非常によく遭遇する問題なのでございます。

臨機応変というのは、接客業のキモでございます。そしてこのキモは、かなり不条理。「お客様は神様です」という名文句があるように、無理を通せば道理が引っ込む的なところがある。経験を重ねていくと、道理を外す勘所を心得るようになるのでございますが、それを掴むまでは、いろいろ悩んだりするものでございます。

さて、指導する側から見ると、やはり最初は「道理」を教え込むことになるのですが、そのうち、この不条理に突き当たる。すると、「こういう場合は、○○しなさい」と臨機応変の積層の一枚を披露するのでございますが、これが若い人にはダブルスタンダードとなってしまう。「あの時、教えてくれたことと違う! コロコロ変わらないで!」となるのでございます。

物事の「本質」を教えるというのは、難しいものでございます。精神論的なお話になっちゃいますからね。ですから、最初は「こうしなさい、ああしなさい」という具体的な指示を出さざるを得ない。すると、臨機応変の不条理という矛盾に必ずぶち当たることになる。この矛盾の壁にぶち当たってしまうと、本人も指導する側も、ちょっと苦労するのでございます。

もちろん、最初から「本質」を本能的に心得ている新人さんもいらっしゃいます。それが「客商売のセンス」ということになります。ここに、客商売の難しさがございます。向いている人は初日から大活躍。向いていない人は、それなりのスロースタートを余儀なくされる。

「本質」とは「心」でございます。真心(まごころ)のことでございますよね。これを最初から本能的に理解している人もいる。理解してなかったけど、次第に会得してしまう人もいる。理解できないけど、完璧な演技を会得して上手く行く人もいる。まぁ、演技しているうちに感化されてしまうことも有るので、いちがいに「演技」を悪いとは思っておりません。

いやぁ、客商売ってのは、複雑怪奇。一見、矛盾をはらんでいるように見えますが、その本質を掴むと、全てが「真心」というひとつの法則の上に成り立っている。電車の席の譲り合いも、ルールだからどうとか言うのではなく、相手の心が見えているか、見ようとしているか、そういうことに行き着くと思うのでございますけどねぇ。では、では。


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