店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
テレビの番組表に「コント55号」という表記がございまして、懐かしながらその番組を見ておりました。コント55号の現役時代は、まだまだ録画というのが大変な時代。今、残っているコント映像ってのが限られているのでしょう。もう散々見慣れたコントではございますが、楽しく見ていたのでございます。
若い頃の萩本欽一さんを見ていて、「誰かに似ているなぁ」と思っていまして、ハタと気がついたのでございます。口調とか声の質が「大泉洋」さんに似ているのでございますね。年齢的に、大泉さんはコント55号をリアルタイムでは見ていないような気がいたします。たまたまなのか、何か憧れがあったのか、まぁご本人のみが知るところでしょうねぇ。
大泉洋さんが、今放送中の大河ドラマに出演されております。持ち前のオチャラケ風味を封印されているのでしょうか。その甲斐も有って、良い感じで劇の中にはまっております。この人、ちょっと暴走気味の演技が悪目立ちに繋がることが多かったので、大河のような重たいドラマで小さくなっているのが、逆に良かったですよね。
大泉洋さんは、ハードボイルドの映画も主演で演じられております。雰囲気的には、松田優作さんあたりを目指していたのでしょうか? でも、ハードボイルドとしては収まりの悪かった映画だったように覚えております。
これは、松田優作さんがシリアスな演技のベースにオチャラケをトッピングしていたのに対して、大泉洋さんはオチャラケの方がベースになっちゃっているからではないかな、と思う次第なのでございます。オムライスで言うと、チキンライスの上に玉子が乗っているか、玉子の薄焼きの上にチキンライスが盛ってあるかの違い。チキンライスの量は同じでも、別物の食べ物になっちゃうでしょ。う〜ん、例えが悪かったかな(笑)。
今回、大河ドラマで思いっきり「我慢する演技」をやらされておりますので、これが今後のハードボイルド作品に活かされるような気がいたします。我慢する部分が有って、はじけた部分がより面白くなるのでございますよね。ずっとはじけていると、見ている側が慣れてしまうのでございます。
役者さんって、ずっと同じような役ばかりをやっていると、そのイメージに外れた役がやりづらくなる。だから、たまに全然違うイメージの役をやると、演技に幅が出ますし、その役者さんに張りついた固定観念も薄れますので、役者さん本人にとってもその後の演技がやりやすくなる。
北野武さんの『アウトレイジ』シリーズが、その好例でございますよね。普段、悪役じゃない人をあえて起用する。それで、映画が役者さんのもつイメージに引きずられることもなく、役者さん本人も、普段とは逆方向に振り切った演技が出来る。あえて狙ったキャスティングをしているとしたら、それが北野武さんの才能の一部だと思うのでございます。
北野武さんは、『アウトレイジ』のキャスティングに関して、「振り子の原理」という話をしていたことがございます。「良い人側に大きく振れることが出来る役者さんは、振り子が反対側へ振り返すように、悪い人も上手に演じるはずだ」とのこと。納得でございます。演技にも「作用」「反作用」というものがございまして、作用側へ振るためには、反作用側の支えが必要なのでございます。