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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2016-10-15 【当店も、廊下など、ちょっとくたびれております】

昨日、LPレコードの話題で、「若い人には分かるかな?」なんて書きましたら、なんというタイミングか、夜の報道番組(TBS系『新・情報7days』)で、レコード復活の話題を取り上げておりました。

今、アナログレコードが、じわじわと人気を吹き返しているとのこと。わざわざレコードで新曲を販売するアーティストもいると報じておりました。

レコードを買いに来ている若い人に、インタビューをしておりました。「レコードは、音が暖かい」、「ジャケットも含めて、アートだ」。こんなような感想を述べておりました。

こういった感想ってのは、レコードからCDへの過渡期で、レコード派だった人達がよく言ったものですが、CD世代の人が、あらためてレコードを使い始めてこのような感想を言うというのは、驚きでございます。人間が感性で受け取ることというのは、時代や文明の進歩には関係ないということでしょうか。

レコードというのは、儚(はかな)いものでございます。CDには、この儚さがない。要するに、CDは劣化しない。その恒久さに「ありがたみ」がないのでございます。

傷が付く、カビが生える、反(そ)る、割れてしまう。こういうことが起こるのが、レコードでございます。ちょっとした扱いの不手際から、音質を損ねたり、二度と聞けなくしてしまうこともございます。このような「無常さ」に、若い人は何かしらのコミュニケーションを感じているのではないでしょうか?

「たまごっち」というオモチャが大流行した時代がございました。中身は、単純なプログラムでございます。しかし、そのプログラムによる「疑似育成」に、何千万という人が熱狂したのでございます。デジタルなオモチャが演出したアナログ的な疑似育成。その無常さも、やはりレコードへの魅力と重なるものがございます。

世の中がデジタルに移行し始めて、すでに何十年も経っております。デジタルの恒久さ、劣化に対する強い耐性、そういった便利さに最初のうちは高揚してきた人類も、ここに来て、剥製の動物に語りかけるような虚無感をデジタルに感じ始めているのではないでしょうか?

そうそう、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンも、サビや汚れを付けて、建物などをわざわざ劣化したような演出を施しているそうでございます。ちょっとくたびれた物っていうのは、人間、安心しますよね。そういった親近感を狙っているのでございましょう。人間も、ちょっと劣化してきたくらいが親近感がわくのかな? では、では。


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