店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
かつて「坂本金八」という教師がおりました。武田鉄矢さん演じるドラマの主人公でございます。この金八先生の情熱的な姿勢に対して、当時の世の中には「理想的すぎる」という批判もございました。その批判に対して、武田鉄矢さん、こんなコメントを返しております。
ワタクシはこの武田鉄矢さんのコメントに対し、かなり以前(18年くらい前かな)のメールマガジンで、「ベクトル」と称しております。ベクトルっちゅうのは、「向き」と「長さ」の決まった矢印のことでございます。「現在」と「理想」の2点が決まれば、ベクトルが決まります。さすれば、最初の一歩を踏み出す方向も決まる。そんなことを申し上げた覚えがございます。
「点は「先」を見越して繋げません。繋げるのは「後」からだけ。バラバラに見える「点」も、いつか繋がると信じて下さい。信じる根拠は何でもいい。『いつか点は繋がる』と信じれば、心のままに進む自信が持てます。」(放送のまま)
おやおや、ここにも「点」が登場してきましたねぇ。武田鉄矢さんのコメント、ジョブスのスピーチ、ワタクシのベクトル、これらは同じものを指しております。今日は、「自己効力感」というものを、ご紹介いたします。
自己効力とは、カナダ人の心理学者、A・バンデューラという人が言い出したこと。単刀直入に申しますと、「出来そうな気がする」と思える感覚でございます。実はね、新人さんや初心者さんを指導しておりまして感じるのは、この「自己効力感」がある人とない人では、成長具合や結果の出る速さが段ちに違うということ。人が成長あるいは出世する上で、必須な要素でもあるのでございます。
何かを始めたとき、初期段階で成功をおさめると、自己効力感が飛躍的に増加します。ギャンブルでビギナーズラックがあると、のめり込みやすくなりますよね。それと同じ。風俗でも、入店直後に良い接客に恵まれ、それなりの収入があると、その後の成長が、非常にスムーズになるのでございます。
「達成した」という感覚を持っていること、これは重要なのですが、新人さんの中には「今までに、何ひとつやり遂げたことがないのでは?」と思えるような、「あきらめ癖」のついている人もございます。こういった人は、指導していても苦戦します。
自己効力感の高い人は、たとえ失敗しても「自分の努力が足りなかった」「やり方を間違えた」と、論理的・能動的に考えます。ところが、低い人は「自分には最初から能力が無い」と否定的に考えます。低い人は、自分の成長の芽を、自分で摘んでしまうのでございます。
ここでも、自己効力感の有る無しで、行動が変わってきます。自己効力感の高い人は、「あれをすれば、自分も成功できる」という確信を持ちます。結果的に、その行動が実らなくても、そこから学習していきます。逆に、低い人は、最初から「無理!」と諦めてしまう。失敗することを極端に恐れている人は、この代理経験がなかなか活かせないのでございます。
「あなたは本当は出来る子」と言われている人は、成功しやすいのでございます。反対に「どうせ、あんたには出来っこない」とやる前から言われてしまうと、出来るものも出来なくなってしまう。「褒めて育てる」とは、よく言ったものでございます。
これのポイントは、この方法で自己効力感を高めるのは、結構大変だということ。しかし、たった1回の失敗で、積み重ねた励ましの言葉を、すべて否定的に捉え始めてしまうということもございます。「アドバイスどおりにやったけど、ダメじゃん。もう信じない!」となっちゃうのですよね。励ます側には、現実離れした過剰な評価は危険でもあるのでございます。
上手にストレスを逃がせれば、それは自己効力感の増加に繋がるのでございます。アルコールに頼るのも良し。ギャンブルに走るも良し。ショッピングも良し。重要なのは、その高揚感の高さではなく、その高揚を「本人がどのように解釈するか」でございます。
「酔った勢い」なんて申しますが、高い高揚感はパフォーマンスを増大させます。しかし、高揚感の中に「自己疑念」が刺し挟まっていると、効果はまったく逆方向に働きかけていきます。お店でも、その日、暇だった子が営業終了後に「飲みに行く!」なんて言った時は、ちょっと心配になります。いい感じでストレス発散すれば良いのですが、逆に、かえって「闇」を増やしてしまうこともあるからでございます。