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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2016-09-30 【落日(らくじつ)なんて語も有るから、さらにややこしい】

昨日のメールマガジン、冒頭のコメント。な、なんと、ワタクシは有り得ないミスをしていたのでございます。配信した後に読み返しますと、月末の意味で「末尾」と書いておりました。「あれ? これ、何か違うよね」と思いつつ、手元の電子辞書を引いてみますと、「まつび」では「末尾」しか出てこない。この瞬間、ワタクシは驚愕の事実を知ったのでございます。

「え? これって、『マツビ』って読まないの?」、そう、「末日」をこの年齢まで「マツビ」と読んでおりました。まぁ、「マツジツ」って読みも知っていたわけなんですが、ワタクシ的には、「どちらの読みも大丈夫」くらいに思っておりました。いやぁ、お恥ずかしい。

どうしてかなぁと考えるに、思い出したのが「楽日(ラクビ)」という言葉。舞台などの千秋楽を指す言葉でございます。これは「ラクジツ」でもなく「ラクニチ」でもなく、「ラクビ」と読む。しかし、興行最初の日は初日と書いて「ショニチ」。さらに、まん中の日は、普通「中日(なかび)」と呼びますが、辞書を引くと「チュウニチ」でも間違いじゃない。ほんと、日本語はややこしい。

この「ラクビ」に引っ張られて、「末日(マツビ)」と読んでいたのでございましょう。この年になって、意外な発見をしたのでございます。日本語を勉強する外国の人とか、覚えるの大変でしょうねぇ。言語を習得するとき、規則性のない語というのは、一番苦労するのでございます。

先日、文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、初めて、「ら抜き」派が正統派を上回ったそうでございます。もっとも、この逆転は「見られる/見れる」「出られる/出れる」の2語に限った話だそうで、しかも僅差での逆転のようでございます。

その他の結果を見ると、「考えられる/考えれる」は圧倒的な正統派「考えられる」の勝利。「食べられる/食べれる」は、正統派「食べられる」が60%で「食べれる」が30%。ちょっと微妙な差でございます。もっと微妙なのが、「来られる/来れる」。これはほんの誤差と言えるほどの僅差で、正統派「来られる」の勝利。

結果、「見れる」「でれる」「来れる」は、ほぼ世の中の半数の人が、違和感を感じずに使っているという事でございます。そう、言葉の進化で重要なのはこの「違和感」。文法的に正しいかどうかは、後からの研究で貼り付けた後付けの理屈。言葉というのは、古来から、この「違和感」を基軸として進化してきたのでございます。

確かに、「ら」を抜かない正統派の言葉は、時として、「可能」を意味しているのか「尊敬」を意味しているのか分かりづらい事がございます。さらに、ラ行の音は舌が大きく動きますので、舌足らずの人でなくてもちょっと面倒な音。この音が「ラレ」と連続しますので、こういう面倒な言い回しは、言語の進化の中で廃れやすいのでございます。

また、「ら抜き」の言葉は、ちょっと幼児性を感じさせる可愛らしさがございます。言葉の進化には、先ほどの「違和感」とともに、この言葉の持つ「イメージ・印象」も重要な要素。言葉に新たなイメージが上張りされる度に、その言葉は進化していくのでございます。これには、ワタクシたちの環境の変化も重要な要素。文化や文明が移り変わっていけば、その新しいイメージを表現するために、言葉も進化せざるを得ないのでございます。

最近では、パソコンの日本語変換プログラムが非常に進んでおります。この「ら抜き表現」の注意だけでなく、「さ入れ表現」「誤った敬語」「用法・用例の間違い」「ことわざの引用」など、至れり尽くせりの注意喚起をしてくれるのでございます。これは、実にありがたい。

昔は、文章を書き終わった後に、辞書を引きまくって確認しておりました。しかし、自分の中で「違和感」の無い言葉に関しては、どうしても見落としますからね。ですので、見落としのないパソコンは、実にありがたい。

本日も、「ウワマル」と入力して変換できない。正しくは「上回る(うわまわる)」とのこと。自分で「うわまる」って何だよって笑っちゃいました。ら抜き言葉ならず「ワ抜き言葉」ですか。いやぁ、重ね重ね、お恥ずかしい。では、では。


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