店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
先日も林檎を買いに行きますと、そこの店主、「これ、いいよ」とある札を指し示しました。見ると、「赤クレープ」と書いてある。しかし、高齢ゆえか、棚の上が、ゆるくというかファジーな陳列になっておりまして、その「赤クレープ」が何を指すのか分からない。そもそも、八百屋にクレープって何よ(笑)。その札のあたりを見回すのでございます。
赤いものでそれらしきもの。近くに、真っ赤に熟れたスモモがございます。これかなぁと思いながら眺めておりますと、そこの店主、「これ、これ」と言いながら、ひょいとある袋を取り上げたのでございます。袋の中には、夏みかんの様な果物が3つほど入っております。「エッ? これ、黄色じゃん、赤くないじゃん」と怪訝に思いながらも、「まぁ、新種の果物かな」なんて思いながら買ってまいりました。
部屋に戻って、さっそく、入刀。真っ二つに切って、断面を見て、全てを了解。その怪しい黄色の夏みかんの様な果物、実はピンクグレープフルーツでございました。グレープフルーツはよく知っておりますから、八百屋の店頭で分かったはずなのですが、頭の中が「赤クレープ」の先入観で染まっておりましたので、気づかない。いやはや、先入観とは恐ろしいものでございます。
この事件を、いろいろ検証してみるのでございます。まず、「ピンク」と書かずに「赤」と書いた事。高齢な店主、ピンクという語に馴染みがなく、スイカと同じ感覚で「赤」と書いたのでしょうか? あるいは「ピンク」という語にトラウマ? ピンク関係で奥さんと揉めた事が有り、店頭に「ピンク」という文字を置く事がためらわれたとか。まぁ、高齢な店主ですので、「日本人なら漢字で書け!」とばかりに「赤」と書いたのかもしれません。
問題なのは、「クレープ」の方。八百屋ですので、「グレープフルーツ」という語を、本当に知らなかったのか? という疑問がわき上がってまいります。もちろん「グレープ」が葡萄である事は知っていたでしょう。で、グレープフルーツを初めて見たときに、「これは葡萄じゃないから『グレープ』という名前が付いているはずがない」と直感で考え、「そうそう、クレープって何かで聞いたな、クレープフルーツだろ」と脳内変換したのではないか、そう勝手に推測するしだいでございます。