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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2016-09-09 【プロジェクト・シィメイル!】

昨日は重たいお話でしたので、今日は軽いお話を。今日の主役は、これ。

美味しそうなコカコーラですねぇ。でも、主役はグラスの中身ではなく、グラスの外側にはめてある紙の枠。「カップスリーブ」というものでございます。かなり以前から利用しておりますので、当店をご利用のお客様にはお馴染みですよね。このカップスリーブ導入の経緯を、ご紹介いたしましょう。

(田口トモロヲ風に)名古屋シィメイルでは、店内でフリードリンクを提供していた。カップスリーブ導入以前は、室内でグラスを倒してしまうという出来事が後を絶たなかった。名古屋薫は模索した。グラスの回りに水滴が付き、それで滑りやすくなるのだろうと思った。そこで、円柱型のストレートのグラスではなく、逆円錐形のグラスに交換した。少し上に向かって広がっているので、手のひらから滑り落ちることがないと推測した。事態はこれで収束すると誰もが思っていた。

しかし、円錐形のグラスを導入しても、倒すという事件は減る気配がない。スタッフ全員が、グラスが倒れるメカニズムを検証した。手が乾いていれば、グラスに水滴が付いていてもいなくても、滑り方はあまり変わらない。問題は、ローションに有った。ローションが手に付いているときに、その「事件」は起きていたのだった。

それ以来、スタッフ全員が、手のヌルヌルに気をつけた。お客様がグラスを取ろうとすれば、そのお客様の手にも注意を払った。十分にぬるぬるに気をつけたにもかかわらず、それでも「事件」は確実に起きた。原因究明は、困難を極めた。スタッフの目から、少しずつ輝きが失われていった。

盲点は、意外なところにあった。あるベテランのスタッフが発言した。手がヌルッとしていれば、誰でも注意深くなる。しかし、ローションが乾いてしまうと、もはやローションが付いている様には見えなくなると...問題解決の糸口が見えた。スタッフの目に、輝きが戻った。

名古屋薫は、実験をした。手にローションを塗り、十分に乾かした。そして、水滴の付いたグラスを持とうとした瞬間、手のローションが溶解し、一瞬にしてヌルヌルになった。グラスは指先からすり抜け、ゆっくりと傾き、中のコカコーラがお盆の上にこぼれた。スタッフ一同、目を見張った

メカニズムは解明した。ただ、それを防止する方法が、また問題であった。誰かが発言した。「取っ手の付いたグラスに交換しよう」。でも、そのようなグラスは、強度に問題が有ることを、名古屋薫は知っていた。スタッフの目の輝きが、また失われつつあった。

名古屋薫が、あるものに注目した。スタッフが飲んでいるコーヒーのカップであった。ホットコーヒーを注文すると、カップの外側にはめてくれる、紙製の枠であった。「あれを流用できないか?」。名古屋薫は早速、その紙製の枠を試すことにした。

ただ、どこで売っているのか、そして「商品名」は? 手がかりは何もなかった。名古屋薫は、ありとあらゆるキーワードで検索をしまくった。ヒットするまで、何度も検索を繰り返した。しかし、たいした手がかりは掴めなかった。時間ばかりが、過ぎていった。

名古屋薫の脳裏には、あの紙製の枠を、どこかで見た覚えがあった。それがなかなか思い出せなかった。ふと、東京時代の友人から電話がかかってきた。浅草でいっしょに遊んだことなどを話し合った。その会話で、突然、かっぱ橋商店街の近くに住んでいたことを思い出した。飲食店用備品専門の、商店街である。そこのどこかで見た覚えがある。名古屋薫は、はっきりと、当時の情景を思い出していた。

早速、かっぱ橋の店舗を手当たり次第に問い合わせた。とうとう見つけた。「カップスリーブ」という商品名だった。ただ、本来の使い方ではないので、適当なサイズが分からない。全てのサイズを少しずつ注文した。ひとつひとつは安い商品である。それが最適の方法であった。届いたものを、ひとつひとつお店のグラスに合わせてみた。ピッタリのものがあった。名古屋薫は、直ぐに大量発注をした。スタッフ一同に、活気が戻ってきた。

カップスリーブをグラスにはめるようになってからは、「事件」は激減した。カップスリーブが指先に水滴が付くのを防ぐため、指にローションが付いていても、グラスが指先から滑ることはなかった。床を拭いたり、割れたグラスを掃除機で吸ったりという作業から、名古屋薫は解放された。お店の効率は、10%程上がった。カップスリーブ導入による功績であった。(「プロジェクト・エックス!」の効果音)

ということでございます。長々とお付き合い、ありがとうございます。カップスリーブ導入の顛末でございました。


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