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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2016-09-03 【危険な手法】

『VOGUE』という雑誌のブラジル版が、パラリンピックの特集をしたそうでございます。その際、健常者をCG編集で障害者の様にした写真を掲載したことで、物議を醸しております。

この話、編集部が勝手に画像を持って来て合成したのであれば、多分、世界中から非難されることでしょう。しかし、この場合、モデルとなった実際の障害者の方も取材に参加していて、実に友好的に編集が進められたようでございます。写真だけが一人歩きして騒ぎが大きくなりましたが、どうやら、悪意のある作為ではなく障害者本人が希望した企画だったようでございます。

これは、あえてネガティブなイメージを前面に出して注目させるという広告の手法でございます。ここで手が込んでいるのは、これがCG合成だというのが一目で分からないこと。そして、起こりうる炎上騒ぎをあらかじめ想定した上で、その対処方法も事前に準備していたこと。

この企画には、障害者の方の「覚悟」のようなものがあったことでしょう。この特集が、非常にネガティブな方向へ炎上が進み、収拾が付かなくなる恐れもあったわけですから。それでも踏み切ることが出来たのは、障害者の方、モデルの方、編集部、これらが強い信頼関係で結ばれていたからだと思うのでございます。

この『VOGUE』の特集、一部で批判的な言い方もされるでしょうが、注目を集めるという意味では、最大の広告効果を上げたと言えるでしょう。また、違う言い方をすれば、「この様なリスクの大きい冒険的な手法をとらなければ注目してもらえない現実」も、また存在するのでございます。

ワタクシは以前より、「愛」と「憎」は同義語だと申しております。程度が違うだけで、心の中の同じ部分の作用なのでございます。では、「愛」の反対語は何か? これも以前から申しておりますし、ワタクシ以外にも言っておられる方が大勢いらっしゃいます。愛の反対語は「無関心」でございます。

パラリンピックのチケットがなかなか売れていない現状、『VOGUE』誌が危険な手法にチャレンジしたのも、そのような人々の無関心を打破したかったのではないでしょうか。CG合成だけが批判されそうな出来事ですが、ワタクシは、『VOGUE』誌のこの「心意気」に、感心したのでございます。

余談ですが、「痒」と「痛」も程度の違いだけで同じ痛点という感覚器官で感じていること。程度が弱いと痒く、強すぎると痛く感じるわけでございます。愛情も、強すぎると、憎しみに変わってしまう。愛するということは、難しいものでございます。


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