店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
ハワイ島パールハーバーの、「アリゾナ記念館」というのをご存じでしょうか? 旧日本軍の真珠湾攻撃によって撃沈された米戦艦アリゾナ、その上にアリゾナ記念館は建てられております。慰霊碑であり歴史遺産でもあるそのアリゾナ記念館は、長い間、来訪者に日本の奇襲攻撃の残虐さを伝える施設でもありました。
そのアリゾナ記念館のビジターセンターに、2013年の9月から、小さな、小さな「折り鶴」が展示されているのを、ご存じでしょうか? この折り鶴は、広島の原爆投下で被爆し12才でこの世を去った佐々木禎子さんが病床で折った千羽鶴の一部、その「実物」が展示されております。遺族にとっては貴重な「遺品」でもあるこの折り鶴がどうしてアリゾナ記念館に展示されているか、それにはこんな経緯がございます。
話は、2001年のアメリカ同時多発テロに起因しております。当時、ワールドトレードセンター跡には、多くの花や星条旗が供えられました。それらに混じって、何束もの「千羽鶴」も供えられたそうでございます。アメリカの関係者にはその「オリガミ」の意味が分からぬまま、他の星条旗などといっしょに大切に倉庫に保管されることになったのでございます。
テロから3年半が経過した2005年の3月、テロ犠牲者の家族で構成される「9・11 家族会」の代表者達が、東京へ招かれました。その際、偶然、人の勧めにより広島を訪れることになったのでございます。そして、広島平和記念公園にあふれかえる千羽鶴の束を目撃し、ワールドトレードセンターに供えられた千羽鶴の「想い」を得心するに至るのでございます。
この出来事を機に、テロ跡地のトリビュートセンターには「一万羽鶴展」が常設されることになり、千羽鶴の由来となった佐々木禎子さんに行き着き、佐々木禎子さんのお兄さんに協力の申し出が依頼されると、そこから話は急展開を迎えます。そのお兄さんが接触を申し出たのは、トルーマン大統領のお孫さん。トルーマン大統領といえば、原爆投下を決定した大統領でございます。お孫さんとお兄さんとの交友が、アリゾナ記念館の折り鶴展示にまで発展いたします。
アリゾナ記念館でかつて展示されていた旧日本軍の非道さを伝える展示内容は、現在では、当時の世界情勢を冷静公平に記し、「どうして日本が戦争を始めるに至ったのか」という展示に変えられているそうでございます。アリゾナ記念館は2010年ころからその展示内容を改める動きが出ており、2013年のこの折り鶴展示から、その存在意義を「遺恨」から「和解」へと大転換しております。
さて、オバマ大統領が広島を訪問いたしました。なんか大仰なコメントが交わされましたが、ワタクシとしては、当時広島に捕虜として抑留され、原爆によってその命を落とした20数名のアメリカ兵のことや、アリゾナ記念館に展示されている折り鶴のことに言及して欲しかったなぁという思いでございました。