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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2016-03-12 【最悪のことばかり想定していたら、何も出来ないのでございます】

高浜原発に運転差し止めの仮処分。あくまでも“仮”ですから、本訴訟でひっくり返るかもですよね。運転差し止めにビックリしましたけど、「3/11」という日付の直前でなかったら、この判決は出ていたでしょうかねぇ? 時期的に、裁判所が事勿れ主義に走ったのでは? と、勘ぐってしまうのでございます。

震災から5年、仮設住宅で生活する人がまだ1万人以上いらっしゃるとのこと。一部の地域では、土地のかさ上げ工事がまだ進行中。完成は4〜5年先になるとの事。きょうび、小さなビルなら1年未満で建て代わってしまうご時世に、何が起きているのでしょうねぇ。

ギネス級の堤防を、新たに作っているそうでございます。今日明日にでも東日本大震災レベルの津波が来る、という恐れがあるからでしょうか? でもね、地学的に言うと、あんな巨大地震は100年に一度の頻度。過去の膨大なデータから検証済でございます。大きな堤防を作っても、それが役立つ頃には老朽化してますよ?

次の災害に備えるには、過去の災害を分析することが重要。津波による被害者があれだけの数に上ったのは、堤防が低かったからではございません。地震から津波到来まで40分も余裕があったのに、津波を過小評価していたために、逃げ遅れた、それが大きな原因でございます。大自然のエネルギーは膨大。それを、人間の建造物で持ちこたえようとするのは、あまりにも不毛でございます。

巨大な堤防、広大な土地のかさ上げ、それらが全て、ワタクシにはバベルの塔にしか見えません。抗(あらが)うのではなく、「受け入れる」という考え方は出来ないでしょうか。例えば、最近の高層ビルは、地震の際に「あえて揺れる」ような構造にすることで、破壊的な壊滅に至るのを防いでおります。津波に対しても、水が上がってくるのは仕方がないことと受け入れて、それ前提の街並みの計画や非難設備の充実を計る方が、有益ではないでしょうか?

関東大震災の後、第二次世界大戦の後、日本人はどうやって復興してきたでしょうか? 焼け野原になった土地にまず現れたのは、乱立するバラック(粗造の仮小屋)でございます。まず人が集まり、コミュニティが生まれ、人々の営みに必要なものが、引き寄せられるように集まってくる。もちろん、街並みは混沌と化しますが、重要なのは、理想的な都市計画ではなく、その土地の人達の息づかい。

今の東北の復興は、最初から完璧な都市計画を追及しております。しかし、なまじっか、都市計画という「知恵」があるばかりに、コミュニティというものが「自然発生的」に生まれるものだということを最優先で考えられない。根本的に、「まず人ありきの復興計画」ではなくなっているのでございます。好きな場所に勝手に生活を始めさせて、混沌としてきたら、その時、改めて都市計画を考えるというのでもいいのではないでしょうか?

今の日本は、どうも極論に走るきらいがございますね。原発の事、復興の事、もう少し、ズルズルと曖昧に考える部分があってもいいのではないでしょうか。そう考える、5年目の「3・11」でございました。


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