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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2011-06-03 【人類の文明は、たかだか数千年】

今日は、ある映画のお話。今日はちょっとお暇をいただきまして、映画を観てまいりました。映画館は名古屋の今池という場所。この地名を聞いてスケベな映画館を思い出す人もいらっしゃいますでしょうが、今回足を運んだのは、そのスケベなのとは違う映画館。ワタクシにとって今池という場所は、子供の頃の思い出がいっぱいよみがえってくる場所でございます。ちょっと裏道に入ると、昔と変わらぬ“匂い”が漂ってまいります。ただ、いつのまにかユニーが閉店していたのには驚かされました。そういえば、数年前からガラ〜ンとしてましたからねぇ。

で、映画ですが、『100,000年後の安全』という映画。これは、フィンランドに建設された「オンカロ」という放射性廃棄物の永久地層処分場をテーマにしたドキュメンタリー映画。映画館は定員100人前後の小劇場でしたが、半分近い座席が埋まっておりました。実は、先日の5/28にもこの映画館を訪れたのでしたが、初日ということもあり、立ち見席まで完売で、その日は見られなかったのでございます。それで、本日、再びその映画館に出向いたということに。普段なら動員が全く期待できないような地味な映画ですが、やはり福島の事故の影響で、ここ名古屋でも放射性物質への興味が高いのでございましょう。

この映画に、現代の放射性廃棄物の処理に関する総括的なドキュメントを期待すると、みごとに肩すかしを食わされます。この映画は、その「オンカロ」という処分場の運営に関して、様々な立場の人が様々な意見を言う姿が、ただ延々と続くだけの映画でございます。ストーリー的な盛り上がりは全くございません。地味な映画ですが、この映画の全編を貫いている不思議な感覚は「100,000年」という数字。100,000年後というのが全く予想つかない世界なのですが、オンカロ処分場の関係者は、その想像できない未来の世界を想定して処分場を設計しなければならない。この直面した現実と夢想とも思える未来とのミスマッチが、この映画に、量子力学の研究者が感じるような不確定性というぼんやりとした空気を与えているのでございます。

放射性廃棄物の処分方法に関しては、世界中のどの国も決定的な解決を見いだしてはおりません。そのような状況の中で、このフィンランドの施設は、決定的な解決とはいかないまでも何かしらの糸口になるのではないでしょうか。よろしければ、この『100,000年後の安全』、ご覧になってみてくださいませ。

●映画『100,000年後の安全』公式サイト

http://www.uplink.co.jp/100000/

●名古屋で上映されている「シネマテーク」のホームページ

http://cineaste.jp/


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