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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2011-05-06 【急ハンドルを切ったら違うものにぶつかったでござるの巻】76.95kg

アハハ、いきなり浜岡原発を全面停止だって。まぁ、中部電力は原子力発電の依存度が低いので、関東のような停電にはならないと思いますし、こんな時期ですから、止めるのも仕方ないでしょうね。ただ、菅首相の発表が、あまりにも唐突すぎて(笑)。車の運転に例えると、ヒヤリとしたドライバーが慌てて反対側に急ハンドルを切ったら、こんどは別のものに当たりそうになったみたいな、そんな感じ。

ワタクシは原発に対しては、「上手におつき合いしていきましょうよ」という考え方。どんな科学技術も必ずその利便性と危険度が裏表になっております。その裏表をつないでいるのがコスト。安全にして利便性を高めようとすると、コストが膨大になり採算が合わなくなる。逆にコストを下げると、どこかで安全度を割り切らなくてはならない。この利便性・コスト・危険度の三者のトレードオフの落としどころを決めるのは「設計者」でございます。つまり、「原発が危険」なのではなく、「原発の設計思想が危険だった」ということなのですが、現状のこの雰囲気では、こんな区別した考え方は難しいですよね。さらに原発の場合は、この三者のトレードオフに加えて「利権」というものがくっついてきますしね。

「今、ユッケを提供している店は、絶対安全です」。なぜなら、こんな状況でユッケを出せるのは、十分な知識・経験を持っている自信のあるお店に限られるからでございます。同様に、「今後の原発は、かなり安全度が高くなるはず」とも言ってしまいましょう。まぁ、ユッケと原発を同様に語るワタクシも、暴論ではございますけどね。

科学技術にとっての「失敗」は、革新するための大きなヒントなのでございます。あのスペースシャトルでさえ二度も大きな事故を起こしておりますが、その度に時間をかけて安全性を高めてきております。技術が進歩するためには、失敗というのは不可欠なのでございます。福島第一原発は、原発の歴史から言うと第2世代の原子炉。最近の原子炉はすでに第3世代の原子炉になっておりましてちょっと安全度は高くなっているのですが、すでにミソもクソも一緒に語られております。福島第一原発が「もうすこし小さな失敗」で収まってくれていれば、今回の事例は原発の設計思想を大きく進歩させ、安全性を高めることに貢献したでしょう。初動の判断ミスが、本当に悔やまれるのでございます。

と書くと、何か原発推進派のように聞こえるかも知れませんが、ワタクシは原子力発電というのは「つなぎの技術」だと思っております。火力や水力が頭打ちの時代に、とりあえず次の発明が生まれるまでの「つなぎ」。原子力発電は低コストだと申しますが、運営によって発生する放射性廃棄物の問題は、あまりコストに入れられることがないのは、実に不思議でございます(だから、原発のコストに関しては、数字のマジックがあると思いますよ)。防護服やマスク、長靴、あるいは床を拭いた雑巾まで、さらに廃炉を行うと解体した膨大な瓦礫がすべて、これらを放射性廃棄物として(とりあえず)地中深くに埋めているのですが、出続ける放射性廃棄物の解決策は、世界中どこの国もまだ見い出してはおりません。

ということで、原子力発電は未来永劫使える技術だとは思えないのでございます。まぁ、今回の事故は、原子力発電から方向転換するいいチャンスになったかも知れませんね。他の国が原発に依存している間に、日本はとっとと次の世代に移行しちゃいましょう。ただ、復興するまでは、原発でも何でもブンブン回して、経済を後押しするべきだとは思っておりますが、世間の風向きを考えると、難しいでしょうねぇ。


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