店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
「最小不幸社会」、多少なりとも政治経済や哲学をかじったことがある方ならば、この言葉を聞いて「ベンサム」という経済学者の名前を思い浮かべることでございましょう。ベンサムの「最大多数の最大幸福」という考え方でございます。菅首相はSF小説からヒントを得たと言っておりますが、もしこのベンサムの言葉をもじって「最小不幸社会」という概念を考えられたとしたら、菅首相、ちょっと期待できるかも、なのでございます。
「最大多数の最大幸福」というのは、「国民の“幸福のトータル”が最大になるような良い方法(妥協案)を考えましょう」という考え方でございます。この考えには、「全ての国民が最大の幸福を得られるような“理想”は有り得ない」という考えに基づいております。つまり、“幸福のトータル”というところがくせものでございまして、「ある少数の人たちがちょっと不幸を我慢することで他の大勢が大きく幸せになれるのなら、トータルの幸福は最大になる」ということも考えられるのでございます。この考えは怖い一面を持っておりまして、「普天間の人たちがちょっと我慢してくれれば、日本中が幸せになれるじゃん」という考え方も成立してしまうのでございます。
まぁ、菅首相がこのベンサムの言葉をもじっていたかどうかは定かではありませんが、こういった経済学的な考え方が出来るというのは、ある意味“実践的な”政治家だと思うのでございます。経済学というのは“妥協点”を求める学問でございます。必ずどこかで“損”は出るものだという前提で損得の差が最大になる点を求めますので、結果には必ず何らかの妥協を含んでおります。政治だって、この妥協というのは必要だと思いますよ。「これはそちらに譲るから、こっちのを通してくれないかなぁ」というような駆け引きみたいなものがあってこそ、円滑に政治が進行して行くってもんでさぁ。自分の党の考え方以外は何ものも受け入れないという考え方は、ある意味「宗教」でございます。正教徒(与党)と異教徒(野党)との宗教戦争、日本の政治って、なんかこんな風に見えては来ませんか?