店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
NHK大河ドラマの『龍馬伝』が面白いのでございます。今はちょうど、龍馬が短期の江戸修行を終えて里帰りしているところ。江戸で見聞きしたものに喚起され、さらなる江戸行きの野望に胸を膨らませている龍馬が描かれております。もうね、この龍馬を見ていると、20代の頃の自分のようで、ジリジリジリジリしてくるのでございます。
その頃のワタクシは、とにかく何かをやりたくて、オーディションを受けまくっておりました。そして、東京のミュージカル養成学校のオーディションに合格し、上京するわけでございます。東京では驚きましたねぇ。とにかく人間が多い。自分と同じような野望を持った人間がワラワラとレッスンを受けに来ている。そして、そのレッスンの内容が濃い! もう何が濃いかって言うとですね、実際に舞台に携わっている人が、ごく普通に講師であったり生徒の中に紛れていたり。だから、レッスンもより実践的でしかも初めて聞くような最新の技術だったりするのでございます。
ワタクシが東京で得たショックというのは、龍馬が黒船を見たときの衝撃と同じではないでしょうか。「あぁ、名古屋はなんて遅れていたんだ」と思い知らされたものでございます。「名古屋の数年間が東京の数ヶ月と同じ」ぐらいに思っておりました。もっとも、この東京での体験によって、「あぁ、私にも田舎があるんだ」と再認識できたとも言えるのでございます。東京へ行くまでのワタクシは、それこそ名古屋人の例に漏れず、「東京ほどではないにしろ、名古屋もそこそこ頑張っている」ぐらいに思っておりました。そんな名古屋への過大評価が崩れるとともに、より客観的に名古屋を見つめることにより、名古屋に対する愛着が増したわけでございます。
で、ニューハーフにも同じようなことが言えちゃったりしまして、中部地区の外へ出たことがないニューハーフの場合、どうしても「井の中のかわず」状態になりかねない。そこでワタクシは、若いニューハーフには「気軽に東京を見て来なさい」と言ったりいたします。絶対的にレベルの違うものに触れますと、客観的に自分を評価する目が生まれたりいたします。自分の「立ち位置」が分かるわけでございますよね。この「立ち位置」をわきまえ、受け入れると、人間、「腹が据(す)わる」のでございます。