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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2010-02-17 スポーツマンにも政治家にも、さわやかさって必要ですよね

本日は、ちょっと暇をいただきまして、映画を観てまいりました。『交渉人 THE MOVIE』と『インビクタス/負けざる者たち』の2本でございます。あまり出かけるチャンスがございませんので、行けるときにド〜ンと2〜3本、まとめて観てくるようにしております。

『交渉人』の方は、テレビのスペシャル番組のちょっと豪華版って感じですかね。こういった「ノリ優先」で作っている映画は、そのノリに乗っかってしまうのが一番でございます。「交渉人」というテレビ番組があるそうですが、そちらのほうは見たことがなく、予備知識ゼロでの鑑賞でございます。気楽に観る映画ってのも、なかなかいいのでございます。

さて、本命の『インビクタス』。この映画は、ラグビーとネルソン・マンデラ元大統領がテーマとのこと。スポーツがらみの映画っていうと、なぜか思い出すのは『ロンゲスト・ヤード』とか『クール・ランニング』といったところ。今回のオリンピックでは、ジャマイカのボブスレーは出場しているのでしょうか。といったところで、映画の話をいたしましょうか。あらすじの確信は書きませんので、まだ観ていない人も安心してお読みくださいませ。

まず驚いたのが、パンフレットの厚さ。ページ数を数えたら44ページもあって、ビッシリと文字が並んでいる。そして、映画のパンフレットには珍しい縦書きの右開きという体裁。これは、とにかく‘文章を読んでもらいたいパンフレット’ということでございましょう。この映画のシナリオが史実に基づいており、そして、その史実をいたずらに美化することなく、いかに‘ありのまま’に表現したか、そんな熱い思いがパンフレットから伝わってくるのでございます。

おおまかなストーリーは、就任直後のネルソン・マンデラ大統領の生きざまと、その大統領が国家再建のためのひとつの目標とした南アフリカ・ラグビーチームのワールドカップ優勝への経緯をつづった、スポーツ映画でございます。監督がクリント・イーストウッド。社会の恥部を実にさりげなく臭わせるのが大好きな監督のこと、どうやって南アフリカのアパルトヘイト(人種差別政策)を皮肉るのかと思いきや、そのアパルトヘイトの傷跡はほとんど持ち出さず、実にさわやかなスポーツ映画に仕上げております。それはたぶん、ネルソン・マンデラという人物の人間性に起因するのでございましょう。そのマンデラ氏の人間性こそが、この映画のテーマだからでございます。

人種差別というと、ついつい黒人と白人の「戦い」のような印象を持ってしまいますが、マンデラ氏にとってはそうではないようでございます。マンデラ氏就任後、それまで白人の象徴であったラグビーチームは、そのチーム名やユニフォームなどを刷新しようという動きが生まれます。その一件にマンデラ氏はどうしたか。「白人の宝物を奪ってはいけない。白人に‘復讐’しても新たな敵対関係が生まれるだけ。白人も黒人も南アフリカを祖国とする国民なんだ」そう言って、そのチームの刷新を思いとどまらせるのでございます。「赦(ゆる)すことから、和解が始まる」、その信念を貫き通すマンデラ氏のひた向きさとスポーツマンの純粋さとが相まって、この映画の大きく、そしてさわやかな感動を生み出しております。

このマンデラ氏の生きざまは、今の日本人にとっては耳が痛いはずでございますよ。つい最近、大きく政権が変わりましたが、新しい政権のやっていることは、今までの政権がやってきたことをとにかく否定することばかり。これは、「前政権への復讐」ではないですか? 何十年も自分を投獄してきた白人をさえも赦すマンデラ氏の大きな心に比べれば、「友愛」なんて語をひけらかしている人たちの度量の狭さがうかがえるってもんでございます。と同時に、政権を奪われた側の人たちの醜態も相当なものでございました。今の日本には、マンデラ氏のようなさわやかさを持った人はいないのでしょうかねぇ。

ちょっと脱線いたしましたが、『インビクタス/負けざる者たち』、実にさわやかに気分になれる映画でございます。この映画のラグビーチームは、国歌の威信をかけてワールドカップに挑んでおります。その姿は、ちょうど今開催されているオリンピックの選手たちのイメージとも重なります。この時期だからこそ観るべき映画なのかもしれません。超オススメでございます。

パンフレット。『インビクタス』のパンフの厚みに注意!


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