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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2009-11-09 ストーリーに全く触れずに映画の感想を書くのは、大変なのでございます

もう毎日お店に張りついておりますので、ワタクシには「お休み」というものがございません。そこで、暇なタイミングを見計らって、みずき店長とスタッフに任せ、ときどき外出させてもらったりしております。本日は、ちょっと時間をいただきまして、映画『沈まぬ太陽』を観てまいりました。実は今年の春に大阪へ出向いたとき、新大阪の駅でたまたまこの映画のロケ現場に居合わせました。そのときのシーンを確認したいという気持ちもありまして、わざわざ観に行ったというようなこともあるのでございます。ストーリーを書いてしまうような興ざめなことはいたしませんので、まだ映画を観ていらっしゃらない方も、安心してお読みくださいませ。

この映画、3時間22分という長尺でございまして、途中で10分間の休憩が入ります。長尺ではありますが、けっして退屈したりはいたしません。主人公のモデルは小倉寛太郎(おぐらひろたろう)という実在の人物。山崎豊子による原作がこれまた周到な事前取材を経た上で書かれており、小倉寛太郎氏の著作物などとも合致することを考えると、この映画のストーリーのようなことは、たぶん実際に起きていたのだろうと想像できるのでございます。

ところが、この映画のもう一つの主役である「○○航空」は、まったくこの映画に協力しておりません。事実無根なストーリーだと抗議し、協力どころか名誉棄損も辞さぬ勢いでございます。もうね、潰れかけている会社がまだそんなことを言っているのかと呆れてしまうのでございます。海の向こうアメリカでは、公的支援の是非を問う公聴会にジェット機で出向いた自動車3バカ社長がおりましたが、まさにそれと同じ。こんな○○航空を救うために貴重な税金が使われるのかと思うと、腹立たしくもなるのでございます。

閑話休題、今回お話ししたかったことは、そんなバカ航空の話ではございません。この作品のモデルとなった小倉寛太郎という人物の妙な魅力について、お話ししたかったのでございます。この小倉寛太郎氏、バカ航空との闘争の物語でも執筆しているかと思いきや、著書はアフリカのお話ばかり。動物の写真集なども出しております。一企業との闘争なんて小さなことには目もくれず、晩年の関心は大自然の摂理にあったようでございます。そんな小倉氏の生き様に相対(あいたい)すればするほど、既得権益に固執する一企業の卑(さも)しさが、浮き彫りにされるのでございます。

この作品は、ある航空会社の一社員の生き様を通して、その社員の持つ雄大な人生観を描くことが本来のテーマなのですが、残念ながら、3時間22分という尺をもってしても、それを十分に描ききっているとは思えないのでございます。この映画を観に行かれる方は、観る前でも後でもよろしいので、原作を読む、あるいは、小倉寛太郎という人物の略歴などに触れることで、その描ききれなかったさらに深い部分に触れることが出来るのではないでしょうか。ということで、よろしかったらご覧下さい、『沈まぬ太陽』

映画『沈まぬ太陽』のパンフレット、小倉寛太郎氏の著書


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