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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2021-06-22 【今、日本は南北朝時代】

朝日新聞の連載記事「アナザーノート」で、アメリカの「社会保障番号(SSN)」とフィンランドの個人識別番号(ID)の実体が紹介されておりました。要約すると、こんな感じでございます。

アメリカ 社会保障番号(SSN)

アメリカの社会保障番号は、既に1936年(昭和11年)から使われております。なんと、85年もの歴史のある制度なのでございますよ。このSSN、運転免許証の取得、銀行口座の開設、クレジットカードの発行の際には必ず必要。税金、社会保障と完全に紐付けされ、これが無いとアメリカでは、ほぼ生活出来ません。アメリカ人は自分の社会保障番号を暗記しているとかよく言いますが、納得でございます。

この社会保障番号は、商業施設や飲食店、空港で要求されることも有るとのこと。運転免許証には社会保障番号の他に髪や目の色、身長、体重なども記されていて、本人確認を必要とされる場所では、パスポートよりもむしろ身体特徴の記載が有る運転免許証の方が、実質的なIDカードになっているそうでございます。移住まもなくでSSN発行待ちの状態だったりすると、家賃や携帯電話の契約時に、多額の補償金を要求されたりするそうでございます。

フィンランド 個人識別番号(ID)

フィンランドの個人識別番号は、1960年代から使われ始め、1999年には電子化されております。こちらも60年以上の歴史がございますね。社会保障、税金、医療情報などが紐付けされている番号でございます。特に、1999年の電子化以降は圧倒的に利便性が高まり、フィンランドでは「オンラインで出来ない手続きを探す方が難しい」と言われるほどに、諸手続がオンライン化されております。

フィンランドのIDで特筆されることは、ひとつの事項を書き換えると、それが他の事項に反映されるということ。転出・転入手続きは、IDの登録情報を更新するだけで、銀行や保険会社のデータにも連動して反映されたりいたします。しかも、わざわざ役所に出向くこともなく、自宅にいながらスマホかパソコンでポチポチッと操作するだけでございますよ。


さて、日本のお話をしましょうか。日本のマイナンバーカードは、アメリカやフィンランドに比べたら、まだ生まれたばかりの赤ん坊の様なもの。実用化どころか、その使用範囲がガチガチに法律で制限されてまして、ほぼ何の役にも立ってない(立たせられない)状態。「個人情報が政府に握られる」「個人情報を企業が利用出来るようになる」ということに対する圧倒的な抵抗感が、普及を妨げている要因でございます。

欧米のアルファベット文化は、コンピュータと親和性が高い。その関係もございまして、「コンピュータで国民を管理する」ということが、ほぼ、コンピュータが発明されたと同時に開始されております。不運にも既に日本には戸籍制度というものが存在しており、なおかつ、日本語はコンピュータと非常に親和性が悪い。「ままよ、人海戦術!」とばかりに手作業での管理が長年続けられた結果、戸籍制度とマイナンバーというダブルスタンダードが両立する羽目に。個人情報管理の南北朝時代を迎えているところでございます。

マイナンバーに関する議論ってね、認める・認めないとか、ふさわしい・ふさわしくないなんていう、まるで個人の感情レベルの発言が繰り返されてる。あ~あ、井の中のかわずだねぇ。ここは視野をもっと、海外に向けましょうよ。60年とか80年も、個人情報を番号で管理してきた国が既に存在しているのでございます。「好き・嫌い」の議論ではなく、「どの国のどのモデルを目標にするか?」という議論に変わるべきでございます。

先日、京都に済んでいるワタクシの義理の姉の戸籍を入手しようと思ったら、京都の区役所まで手紙を出して返送してもらうという方法しかなく、驚いたのでございます。戸籍の電子化が進められてから20年ほど経ちますが、末端の手作業は20年前と何ら変わっていないのでございます。「20年で何も変わらず」ですかぁ、はぁ~ぁ、では、では。


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