店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
風俗という業種の性質上、仕方ないのではございますが、キャストの退店の際に「自分のデータは出来るだけ早く消して下さい」と言われますと、「その早く消したい業種に、もう20年以上携わっているワタクシは何なのだろうねぇ?...」なんて思ってしまいました。
風俗に携わってから、20年以上。ニュハーフという「業種」には、30年以上も携わっております。そう、「ニューハーフ」ってのは「業種」なのですが、この感覚は、最近の人にはあまり理解出来ないでしょうねぇ。役者が演技を生業としているのと同様に、ニューハーフは「女っぽさを売りにする生業」ということ。だから、その中にはゲイもいればノーマルもいる、妻子持ちのニューハーフなんてのも昔は珍しくなかったのでございます。
今から40年位前に、ニューハーフブームというのがございました。それこそテレビなどではチヤホヤされてましても、実生活ではかなり厳しい差別を受けてたんですよ。テレビで見るニューハーフは好きだけど、ニューハーフがお隣さん・ご近所さんにいるのは嫌、なんてことも。昼間の世界では、絶対的な好奇の目で見られる存在。ですからなおさら、「もう、元の世界には戻らない」という大きな覚悟を持って、夜の世界に自分の生きる場所を見つける人も多かったのでございます。
ひと昔前のニューハーフってのは、大きな決意で、広い河を渡って、夜の世界に飛び込んできていたのですよね。その後、性同一性障害とかLGBTとか叫ばれ始めてからは、この河はどんどん細くなり、今や暗渠(あんきょ)と化しております(笑)。ニューハーフ業界に入ってこられる方も、はなから、骨を埋めるなんて気持ちは毛頭ない。人は世につれ、世は人につれ、でございますね。