店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
今日は、NHK Eテレの『漫勉neo』という番組で、チョイト興味深い発見が有ったので、ご紹介いたしましょう。この番組は、漫画家の「浦沢直樹」さんが同じく漫画家の人をゲストに迎え、そのゲストの方の漫画の書き方を拝見しながら語り合うという番組でございます。その番組の一場面でございます。
ゲストは、少女漫画家の「西炯子(のりこ)」さん。浦沢さん、西さんのペンの持ち方を「独特な持ち方ですね」と切り出して、話を進めます。テレビ画面を見るに、確かに、チョイト変わった持ち方をしていらっしゃる。浦沢さんいわく、この持ち方は小指を起点とした毛筆的な持ち方だとのこと。中国の細かい絵付けをする人の面相筆の持ち方に似ているそうでございます。
ワタクシ、ちょっと試してみましたよ。まずは、ごく一般的なペンの持ち方をしてみる。次に、実演する浦沢さんの様に手首を返して、西さんのような持ち方をしてみる。フムフム、確かに、毛筆の様な手の形になる。で、ワタクシ、気が付きました。一般論な持ち方は手首の自由度が高いのに対して、この持ち方は手首が固まるのですよね。細かい作業に向いているというの、納得でございます。
いやぁ、浦沢直樹さんの博学ぶりに感心いたしましたが、2人の会話はまだまだ続くのでございます。ペンの持ち方を子供の頃に矯正されたけど、結局直らなかったという西さん。すごく筆圧が低く、漫画家になってからもずっと自分の弱点だと思っていたそうでございます。でもそれを浦沢さんは、オリジナリティだと断言。この持ち方だからこそ出る繊細さが、西さんの魅力だとのこと。
ワタクシ、このやり取りを見てましてね、「躾(しつけ)って、何だろう」と、ふと思ったのでございます。鉛筆の持ち方、箸の持ち方、日本ってのはやたらうるさいですよね。持ち方が悪いと、人格まで否定されたりする。でも、その型のお仕着せで、どれほどの才能の芽を潰しているのかなと、ちょっと頭をよぎったのでございます。
日本では、やたら「過程」が重要視される。たとえ結果が出ていても、過程が悪いとその結果まで否定ですよ! そうそう、算数の授業で「30円×2個」を「2×30=60」と書くとバツにされたりする。日本の企業の多くがリモートに抵抗感を持っているのは、「仕事をしている様子(過程)が見えないから」という理由とのこと。あ~あ。
その型にはめた教育を打破するはずだったのが、かつての「ゆとり教育」なのですけどねぇ。いつしか、その「ゆとり」が斜め上の方向に向かっていって、「ゆるい型にはめる」という教育になってしまった(笑)。「結果が出せれば、その過程はゆとりを持って評価する教育」という名称だったら良かったのですけどねぇ。