店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
今日もまた、朝ドラ『エール』の話題から、お話を始めましょうか。本日放送分に、バナナマン日村こと「日村勇紀」さんが、ラジオドラマの音響効果係として出演されておりました。これがねぇ、上手。とにかく、間がいい。この人は、もっと俳優としての仕事が来ても良いのではないでしょうか。
お笑いの人は長年コントをやっていますから、間を取る「勘」がよろしいのでしょう。お笑いで重要なのは、「わざと間を外す」ということ。その違和感が笑いに繋がるのでございます。「外す間」があれば、当然、「外さない間=自然な間」というのもございます。今日は、この二つの「間」をご説明いたしやしょう。
自然な間というのは、文字通り、日常生活で自然にやっている動きの事でございます。普段、無意識にやっている事なのですが、これを舞台でやろうとすると、それはそれは大変、なかなか自然には動けない。だから、俳優は演技の勉強をするわけですよね。日村勇紀さん、さぞかし緊張されたでしょうが、その緊張感の中で自然な間で演じられている。いやぁ、素晴らしいですよ。
じゃぁ、どうして、わざと間を外すのか? ということですよね。もし自然の間だけでドラマを作ったら、それはドキュメンタリーになっちゃうのでございます。ところどころに「自然じゃない間」が挿入される事で、ドラマに「引っかかり」が生まれる。それが、文字通り、ドラマチックな展開を生むのでございます。
ここで、面倒くさがり屋さんが勘違いしやすいことがございます。「外したところに感動があるのだから」とばかりに、外すことばかりを練習する。しかしですね、自然な間という背骨がしっかりしているからこそ、外す事をコントロール出来るのですよね。背骨も無いまま外すことに集中するというのは、「奇をてらう」という状態になってしまうのでございます。
何事も基本が大事と言われるのは、ここに有るのですよね。基本から外れたところに感動は有るのですが、その「外す事」をコントロールするのには基本が必要となってくるジレンマ。初心者の頃には気が付かず、上級者にならないと気が付けないというジレンマ。芸事の世界というのは、奥が深いですねぇ。
この「間を外す」ということ、芸風全般にも当てはまるのでございます。どんな人気商売でも、最初は「売れ筋路線」で売り込むのが定石。この売れ筋路線が、先ほどの「自然な間」に相当するのでございます。で、安定期に入ってから、ちょっと「外れた事」もやってみる。すると、それが新鮮さを感じさせたり新たな客層を生んだりするのでございます。