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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2020-09-29 【機械の方が寄り添ってくるデジタル化を】

パソコンのキーボード、あれを手元を見ずに両手の指で「カタカタカタカタ」と文字を入力出来る技術、あれを古くは「ブラインドタッチ」と申しました。今はブラインドという語が障害者をイメージさせるとかなんとかで使われなくなり、「タッチタイピング」と呼んでおります。

欧米人がみなタッチタイピングが出来るかと申しますと、実はそんなことはございませんよ。両方の人差し指2本で高速に、「アタタタタタタタ」と入力する人もけっこういらっしゃいます。ただ、日本人と決定的に違うのは、欧米人の場合は、幼少期からあのキーボードに慣れ親しんでいるということでございます。

何しろ、日本語入力の様な「変換」という工程が全くありませんから、操作は単純明快、子供でも出来る。それゆえ、みんな子供の時からキーボードを触りまくっております。それぞれ自己流ながらも誰でも使えるというのは、日本人が箸を使えるのと同じくらいに「日常」なのでございます。

さて、ハンコを無くそう、ファックスを無くそう、そんな動きが出ております。日本の事務がなかなかデジタルに移行しづらいのは、この「日本語変換」にあるでしょうね。キーボードを触れる人が限られてくる。「誰にでも出来る事務」という前提に立ちますと、「手書き」というのが一番無難になってしまう。なんて想像をしております。

政府はムリクリにデジタル化を進めたがっておりますが、この「キーボードに不慣れ」という根本的な原因に注目しない限り、笛吹けども踊らずということにもなりかねません。ですから、欧米並みにキーボードに慣れるためには、学校教育の段階でキーボードが「日常」になっていないと、社会全体のデジタル化なんて遠い夢だと思うのでございます。

これね、今の若い人はキーボードを打てると思うでしょ。実は、携帯やスマホの親指1本での入力は素速いけど、フルキーボードはダメ、そういう人は意外に多いのでございます。でもワタクシは、強引にフルキーボードのタッチタイピングを修得しろとは申しませんよ。そこは、電子立国日本のお家芸で、日本らしく解決させていくのでございます。

親指1本で高速に入力出来るのなら、その方式でパソコンに入力出来る入力機器を作ってしまえばよろしいのでございます。欧米人だって、みんな自己流。日本人だって、そんな自己流の文字入力方式があってもよろしいのでは? 何もアルファベット文化から生まれたフルキーボードを、日本人が無理して使う必要もございません。

今、スマホの売れ行きに比べ、パソコンが売れなくなってきているそうでございます。この親指入力がパソコンでも出来れば、スマホ派の人が「パソコンも持とうかな」という気になるのではないでしょうか? そしてそれが、様々な業種のデジタル化を後押しすることになるのではないでしょうか?

さて、若い人はそれでいい。でも、「今からフルキーボードなんて、修得出来ないようぉ」と言う方も多いですよね。そこで、電子立国日本のお家芸、またしても大活躍でございます。手書きで書いた文字を「清書」する機能をファックスなどに盛り込むのでございます。送る側は今まで通り。受け取る側は、デジタル書類となって届くのでございます。

手書きの文字を読み取る技術というのは、今はかなり高性能。人工知能も進んでますし、同じような単語や言い回しが多い業務的な文書なら、ほぼ間違いなくデータ化出来るのでございます。そして、この方式の有利ところは、「デジタル対アナログ」という組み合わせを許せること。つまり、上流下流全部いっぺんにデジタルに変えるのは大変。でも、これなら少しずつデジタルを増やしていくということが可能なのですよ。

今、日本がやろうとしているデジタル化は、「デジタルの仕様に、頑張って人間様が合わせましょう」というやり方。なぜ「合わせなきゃいけないか」と言えば、そもそもフルキーボードという仕様がアルファベット向けで、日本人には合っていないから。ですからワタクシは、今こそ、言いたい。日本が向かうデジタル化は、こんなであって欲しいと。

「アナログな人間とデジタルとの間を、日本の技術で埋める、機械の方が人間に寄り添ってくる、そんな日本式のデジタル化であって欲しい」

こう思う次第でございます。では、では。


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