店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
NHKの『SONGS』という番組、コロナの影響でここしばらく過去の再編集ばかりでしたが、久々の新しい収録での放送でございました。その先頭を切ったのが、「氷川きよし」。昨年末の紅白歌合戦で異例のポップスを歌って驚かされましたが、今回の『SONGS』では更に度肝を抜かれました!
ワタクシ、『SONGS』を見終わって、感動でプルプル震えております。この氷川きよしという歌手は、今、覚醒しようとしております! 演歌で名を馳せてきたこれまでの彼は、成虫になる前の幼虫でしか無かったという驚愕! そして、昨年の彼の奇行、あれはサナギとなって完全変態完結への序章であったのでしょう!
そのサナギの背が割れ、美しい羽を輝かせる成虫への片鱗を、ワタクシは今回の『SONGS』で見た感じがいたします。折り畳まれた大きく美しい羽は、まだサナギの中から少し差し出されたところ。これからその羽を大きく伸長し、羽ばたき、舞うことを想像すると、もうその可能性にワクワクが止まらないのでございます。
そもそも、演歌歌手というのは歌唱力が飛び抜けてる。そして「歌詞の意味を大事に伝える」ことを徹底的に教育されている。氷川きよしも例外ではございません。さらに素晴らしいのは、演歌歌手がポップスを歌うと、身についているコブシなどの癖がついつい出てしまったりするのですが、彼の場合は全くそれがなくコントロールされている。大変な技術でございます。
番組では、QUEENのあの名曲「ボヘミアン・ラプソディ」を歌いきっております。この曲はご存じの通りいろんな要素がてんこ盛りの幕の内弁当の様な曲。その様々な曲想を、声質まで変えて表現しきっておりました。その技術とともに、曲を分析する感性も並々ならぬもの。いやぁ、この人に、ミュージカルとかやってもらいたいなぁ。
近年、日本のポップスでは、「歌詞の内容」というのがあまり重視されておりません。言葉の持つ「意味」ではなく、その「語感」、つまり響きとかリズムとかノリ、そういった物が重視される傾向がありまして、ワタクシ、少し残念に思っておりました。しかし、ここに来て氷川きよしさんの覚醒! 日本の歌謡界に新しい風が吹いてくれるのではないかと期待しております。