«前の日記(2020-05-01) 最新 次の日記(2020-05-03)» 編集

薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

2008|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2012|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2013|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2014|01|02|03|04|05|06|07|08|10|12|
2015|01|03|12|
2016|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2017|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2018|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2019|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2020|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2021|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2022|01|

2020-05-02 【羮に懲りて膾を吹く】

憲法記念日が近いという事で、各メディアが「憲法改正」を話題として取り上げております。特にこのコロナ騒ぎへの対応として、憲法の「緊急事態条項」「国家緊急権」が議論されているのは、ワタクシ個人的には非常に嬉しいことでございます。

憲法の緊急事態条項ってのは、「非常時・有事には、この憲法を無視した非常措置を取ることがあるよ」という文言。先進国の憲法には必ず盛り込まれているこの条文、わが日本国憲法には存在しておりません。以前申し上げたように、かつての軍事主義に走ったことへの反省から、この条文を欠いたまま戦後75年が過ぎてしまったのでございます。

今、日本がコロナに対応しているのは、措置法という「法律」。法律ですから、憲法と矛盾するわけには行かない。で、「要請」とか「お願い」になってしまい、罰則を設けることも出来ない。まぁ、行政側から見ればこんな手かせ足かせ状態で、よくコロナをここまで押さえ込んでいるのが不思議でございます。結果オーライと言うか、たまたま運が良かっただけかというか。

でね、この憲法の緊急事態条項を盛り込もうって話は以前から何度も出てますが、なかなか実現しない。それは、この条項は戦争と関わりが強いから。いや、戦争以外の今回のコロナの様な場合にも有用な条文なのですが、やはり戦争に関連づけて反対されることが多い。あぁ、何という単細胞の多いことか!

欧米の憲法の緊急事態条項ってのは、必ずチェック機能とセットになっている(これ重要)。これは、かつてナチスがこの条項を悪用してやりたい放題をしてしまった歴史からの反省から生まれた考え方。「コントロールして使う」という実に合理的な考え方でございます。

ところが、今の日本は、まだナチスが暴走した時代で思考停止している。「緊急事態条項を盛り込んで、日本がまた戦前の状態に戻ったらどうなる?」なんて意見が普通に出る。あ~あ、憲法も法律もどんどん進化しているのでございます。危険だから無くせばいい? まるで公園のジャングルジムの様な扱いでございます(笑)。

そこで、昨日申し上げた「個人の自制心で~」というのが関わってくる。日本っていうのは、いろんな事が個人の自制心に委ねられている。だから、公文書が改ざんされたり、無くなってしまったりなんて事件が当たり前に起こる。こういうの、世間は担当者の自制心を追い詰めたりするけれど、そもそもの「チェック機能の足り無さ」を指摘する人は皆無でございます。

憲法の緊急事態条項も同様。今回のコロナ騒ぎを見ても分かるように、「要請」や「お願い」では対応がかなり限られてくる。しかし、人権を無視することも出来る条項ですから、扱いはとっても危険。危険だから盛り込まないと言うのでは、思考停止したまま立ち止まっているのと同じ。チェック機能との抱き合わせで考え、コントロールして使うという考え方が広まると、いいのですけどねぇ。

「羮(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」。この件に関して、ワタクシがよく書くことわざでございます。第二次世界大戦の反省は有りましょうが、もう終戦から75年が経過しております。世の中の仕組みも変わっております。このコロナをきっかけに、憲法の緊急事態条項に関しても、もっともっと議論が深まっていただきたい、そう願っております。では、では。


«前の日記(2020-05-01) 最新 次の日記(2020-05-03)» 編集