店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
田代まさしさんの息子さんを追いかけたドキュメンタリーが放送されておりました。バンド活動をする息子さんのライブを訪れた父親まさしさんの姿も、カメラは捉えておりました。久しぶりのカメラを意識したのでしょうか、まさしさんの顔、大変こわばっておりましたねぇ。
もうひとつ、お笑いコンビの「サンドイッチマン」が、依存症治療病院でラジオ放送をするというドキュメンタリーもございました。実際の患者さんや看護師さん、先生が、ほぼモザイクなしでありのままを語るという内容。舞台となったのは、横須賀の「国立病院機構 久里浜医療センター」。なんと、60年前から、依存症の専門病棟を持っているそうでございます。
久里浜医療センターは当初アルコール依存を専門に治療していたそうですが、今ではネット依存、ギャンブル依存なども受け付けているようでございます。ただ、病院の診療科案内には、「薬物」の文字は見られない。多くの依存症の中で唯一「犯罪」となってしまう薬物依存は、医療の世界でも扱いがセンシティブなのでしょう。
例えば、救急隊員が「薬物系」の患者を搬送したときには、自動的に隊員が警察に通報するような取り決め(もしかしたら不文律)が成されております。病院も、患者自らが精神科などを訪れた場合は守秘義務を守って下さるのでしょうが、他の症状で来院した患者に薬物系の症状が見られた場合には、やはり通報されてしまうのでしょうか?
「薬物に手を出すな」「薬物をやめましょう」というキャンペーンはよく目にいたします。近年、大物芸能人が「見せしめ」として逮捕される事例も増えてまいりました。薬物利用者はことさらその罪を弾劾されますが、薬物を「売った犯人」が大々的に報道されることは非常に少ない。「防止」や「治療」ではなく、「利用者の取り締まり」が最優先される日本の薬物対策は、非常に残念でございます。
アルコール依存でも同様ですが、重度の依存症は人間の中枢神経を脅かしてしまう「病気」でございます。しかし、今だに「精神力が弱いから」といった精神論で片付けてしまう風潮も根強い。これが薬物の場合は、特に顕著。その風潮が、当事者を孤独に追いやり、益々治療を困難にしてしまうのでございます。
国立の、薬物依存専門の病院が必要だと思いますよ。一般の病院では「外来」扱いになってしまう。アルコール依存でそうですが、外来では根本的な治療は難しい。入院というか共同生活を前提にした専門の病院を作るべきでございます。こういった施設が無いということが、まず第一の問題。
そしてもうひとつの問題は、薬物依存で逮捕された場合、初犯で執行猶予が付いてしまうこと。これが大問題。初犯というのは、治療に踏み出すための千載一遇のチャンスなのでございます。日本の法律は、その千載一遇のチャンスを全て、ドブに捨てている。初犯時こそ、前述の専門病院に強制入院させるような処置が必要なのでございます。
そして、薬物依存を「犯罪」としないこと。これが重要。今の法律は、前科を付け、執行猶予を付け、世の中に戻してしまう。仕事を失い、かつ、薬への誘惑も断ち切れておらず、悶々とした袋小路に入って困窮する。これで「再犯するな」なんて、どだい無理な話。取り締まり最優先で治療や社会復帰を無視した前近代的な法律は、早急に改正されるべきでございます。
そのかわり、薬物を販売した人は、もっと重罪を課すべきでございます。そして、もっと報道されるべきでございます。この部分の法律が比較的軽く、また抜け道が有ったりする。薬物の取り締まりで有効な「おとり捜査」も、日本では禁止されている。あ~ぁ、いったい、日本の法律は、売人と病人、どちらの見方なんだい?
やはり、「薬物=犯罪」というイメージが日本では強すぎて、依存者は、誰にも、どこにも、相談できず、孤独に陥る。これ、売人にとっては「思う壺」でございますよね。解決策はひとつ。国が責任を持って、依存者が犯罪歴を負うこと無く相談できる治療のための機構を作ることでございます。