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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2020-02-10 【日本は映画もガラパゴス】

最近ワタクシは、韓国映画を褒めたりしておりますが、その韓国映画がアカデミー作品賞を受賞いたしましたねぇ。英語以外の作品では初めてだそうでございます。

で、「エッ?」と思い、「黒澤明は取ってなかった?」と調べてみましたら、『デルス・ウザーラ』の「国際長編映画賞」のみでございますね。しかも、『デルス・ウザーラ』は日本映画じゃございません。

アカデミー賞ってのはカチンカチンの「白人文化」でございます。テニスやF1でも同様でしたが、かつては圧倒的な白人主導の世界。近年でこそやっと人種的な差別は無くなりましたが、それでも、英語以外の作品が本命の作品賞を受賞するというのは、まぁ考えられないことでございました。

K-POP・韓国映画、この両者の共通点は、最初から「アメリカ」を意識していたことでございます。K-POPは洋楽をターゲットに、韓国映画はハリウッドをお手本に。最初からアメリカをテンプレートにすることで成長してきたのでございます。

ですから、J-POP・日本映画が非常に強烈な「ジャパネスク(日本色)」を呈しているのとは対象に、K-POP、韓国映画の「韓国色」はあまり強くなく、それぞれ洋楽・ハリウッドに近い。韓国映画がアカデミー賞の本命で受け入れられたのも、そんな「地方色」の少なさかも知れません。

これは、韓国の音楽も映画も、近年まで非常に未成熟だったのが逆に幸いしている様にも思えます。何色にも染まっていなかったから、思い通りの色に染められたと。で、日本の音楽や映画を考えるに、なまじっか確立した世界で固まっているがゆえに、そこから大きく逸脱する作品が生まれにくくなっているとも言えます。

日本の映画界を支えているのは、「アニメ」と「タレント」なのですよね。アニメは確実に黒字になるから、そこに頼りきってしまう。実写映画ですと、演技力に関係なく「売れ筋」のキャスティングをすれば、ある程度の集客が見込める。

つまり、日本の映画にお金を落としているのが、「そういった客層」だということ。よほどネームバリューのある監督でない限り、この客層を無視する訳にはいかない、それが日本映画のジレンマではないでしょうか。

そこで注目したいのが、2018年の『カメラを止めるな!』という作品。スタッフもキャストもみな無名。そして超低予算。しかしながら、世界的なヒットになり、国内外で多くの映画賞を受賞している。

「アニメにもタレントにも頼らなくてもいい」ことを証明した、貴重なターニングポイントを作れたかもしれない映画だったのでございますけどねぇ、後から続く「人」や「作品」は皆無。日本の映画界のどんよりとした流れは、思った以上に重たいようでございますよ。

テレビ番組がダメで、出版界も外資に乗っ取られそうで、映画界も鳴かず飛ばず。日本の文化はどうなっちゃうのでしょう? 芸能事務所が大きな権力を持ち、テレビも映画も事務所に忖度しまくる。その構図が、日本のテレビや映画界をガラパゴス化している気がいたします。


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