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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2019-12-03 【夢のためなら模範解答は捨ててもいい】

OECD(経済協力開発機構)の学力テストで、日本の高校1年生の「読解力」が8位から15位に大きく後退したそうでございます。

何が原因なのでしょうねぇ。まぁ、ワタクシも最近は「説明文」というものを全く読まなくなったので、高校1年生をあまり責める訳にもいかないのでございます。もっとも、ワタクシが読まない理由は、細かい字が見えないからでございますけどね。

そのテストを受けた生徒の中でも、普段から小説を読んでいる人の正解率は飛び抜けて良かったそうでございます。確かに小説ってのは、主語が省略されていたり、回りくどい表現だったりとかで、読解力が鍛えられそうでございます。

晩年のワタクシの母親も、何かと言葉足らずでしたよねぇ。思いついたことを補足説明なしに唐突に話し始めるので、母親が何を言い始めたのかを理解するのは、いつも大変でございました。その母親暗号をを読解できたのは、世界でワタクシだけだったでしょうね。読解をめぐって、よく親子げんかもしたものでございます。

ワタクシは、よく小説は読みましたよ。でも、国語の成績はあまり良くなかった。とくに、「○○の部分は、作者は何を言いたかったのでしょう」みたいな設問は、だいたいダメ。模範解答で答えておけばいいものを、そのもうひとつ裏読みをして答えちゃうのですよね。で、いつもバツ。だって、模範解答って、退屈じゃん。

ワタクシは大学で、国文学を専攻しておりました。いろんなことほとんど忘れてしまいましたが、ある授業だけ、しっかり覚えております。「”文学性”とは何か?」という内容の授業でございました。

その教授曰く、「本当は、○○に生きたい」と思う人間の感情、それが文学性であり、小説などのモチーフなのだそうでございます。「○○と、日記には書いておこう」なんてCMが昔ございましたが、まさにあれが、文学性なのでございます。

ですから、小説ってのは「様々な生きざまの理想型」が散りばめられているのでございます。綺麗な生きざまも有れば、ドロドロの生きざまも有る。どんな生きざまであっても、そこには作者の美学が埋め込まれているのでございます。どうか、感受性の豊かな若い時期に、ありとあらゆる小説を読みふけって、人生の美学を感じ取って欲しいものでございます。

「金八先生」というドラマが流行したときに、「ドラマの内容は理想論であり、現実とは乖離している」という批判がございました。その時、かの武田鉄矢氏はキッパリと言い放ったのでございます。「理想を見なければ、現実は語れない!」と。

「理想」を持ち、すると「現実」が見えてくる。「2点と方向」が定まれば、そこから生まれてくるのは「ベクトル」。人生のベクトルとは何か? それは、「今、どちらに一歩踏み出せば良いか」という方向付けでございます。

今の若い人達は、現実ばかりを見せつけられ、理想や夢を持てず、その理想や夢をゲームの中で昇華する。そんな生きざまに追いやられているのではないでしょうかねぇ。どうか、小説を読んで欲しい。そして、綺麗でもいい、ドロドロでもいい、「こんな風に生きたい」という夢をもって欲しいなぁ。

日本の高校1年生の読解力が落ちているという現象、これは、現実世界から夢や理想が希薄になっているということの裏返しなのではないでしょうか。では、では。


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