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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2019-07-02 【キャスティングで作る安全牌ドラマ】

毎度、毎度、『おしん』と『なつぞら』を比較して申しわけないのですが、『おしん』の脚本家「橋田壽賀子」さんのシナリオは、さすがに緻密でございますねぇ。例えば、こんな例がございます。

おしん、10代前半の時に奉公先の米問屋で、読み書き・簿記・華道・茶道などの手習いを店の女将から受けるわけでございます。そして、実際に店を切り盛りし、茶の湯の持てなしをするカットなどをサラリと入れておく。何気ない、一見無駄に思えるシーンも後になって重要になってくるから、橋田脚本は気が抜けない

10代後半になって、おしん、東京へ出てくるわけでございます。男性から求婚されますが、男性の身内から「女に何が出来る、小作の娘が」と言われるわけでございます。そこで視聴者は、ヒヤヒヤと同時にワクワク。なぜなら、おしんが一介の小娘で無いことを知っておりますから。おしんの秘めたる実力が露呈するに従って、視聴者は「ほら見たことか!」とスッキリし、ドラマにのめり込んで行くことになる。

明らかに、東京編でのシナリオを考慮して、山形酒田編にネタを仕込んでおります。その他、幼少期、青春期で出会った人達が、「漏れなく」、その後のシナリオで絡んでくる。中島みゆきの歌詞ではないですけど、登場人物が上手に、そして無駄なく、縦と横に絡み合ってひとつの作品を形成しているのでございます。

さぁて、また、最近のドラマの愚痴をこぼすことになるのですが、どうしてもシナリオが緩くなるのは、キャスティングの問題ではないでしょうか。昔のドラマは、主役も脇役も、全てプロ。脚本家は思いのままに、性格の悪い役、いじめ役、敵役を設定できた。役者もその脚本に従って忠実に役を演じた。「おしん」のある女優などは、「○○県のイメージダウンになるから、その演技やめてくれ」とクレームが来たくらいでございます。

ところがですね、最近のドラマは、主役、脇役、全て、芸能事務所の大事な大事なタレントさんが出演していることが多い。そのタレントさんのイメージを悪くするような脚本は、どうやったって書けないし、書いたら事務所から注文が入るのは必至。結果として、「良い人」「一見悪そうだけど実は良い人」「悪い人だったけど終盤で良い人に変わる」なんて登場人物ばかりになっちゃったのでございます。

そして、タレントさんというのは、演技のレッスンを受けてない人が多い。当然、現場での撮影の進行が遅くなりがち。そこへ持ってきてスケジュールが厳しくて、撮影時間が限られていたりする。すると脚本家はどうするか? 脚本家は「深い演技をしなくてもいいシナリオ」を書くことになる。ありきたりな、笑う・泣く・怒る・喜ぶ、だけを組み合わせることで、話が進んでいくのでございます。

しかし、タレントが出ているというだけで、数字はそこそこ取れてしまう。つまり、ドラマの「安全な作り方」となってしまっているのでしょう。そこで、同じような図式で作られるドラマが量産される。「リスクを冒して無名な人を使う」という勇気が持てるほどには、製作現場に余裕が無いのでしょうねぇ。。

う~ん、ちょっと、言い過ぎたかなぁ(反省)。もっとも、本気モードの質実剛健なドラマも有るわけで、全てがそんな薄っぺらい(薄いって言っちゃった)ドラマばかりではございません。ただ、特に朝ドラはいろいろ条件が厳しいので、上べっつら間に合わせ取って出しドラマになっちゃうのかなぁ(あ~あ、言っちゃった)。

あぁ、でも、『いだてん』は面白いと思いますよ、ワタクシは。では、では。


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