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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2019-06-20 【メイドの美学】

またテレビのお話で恐縮なのですが、NHKの『プロフェッショナル』を毎週欠かさず見ております。で、6/11(火)の放送が「メイド」がテーマでございました。メイド喫茶のメイドでございます。ワタクシ、「メイド」と見ただけで少しバカにしておりまして、録画だけして一週間ほど放置しておりました。

本日、やっとその録画を見たのでございますが、これが、これが、バカに出来ないような素晴らしい内容だったのでございます。もうね、「メイド」というタイトルだけ見てバカにしたのが申しわけない。まさに「プロフェッショナル」という番組名にふさわしい内容でございました。

とりあえず、ワタクシが特に注目した一節をご紹介いたしましょう。ちょっと長いですが、本人の言葉そのままを文字に立ち上げさせていただきました。秋葉原でメイド歴14年を誇るカリスマメイド、「hitomi」さんの言葉でございます。


照れの先に、萌えがある

ちょっと恥ずかしいじゃないですか、『萌え萌えきゅ~ん』とかも。でも、照れとかちょっとした恥ずかしさの先に、萌えって有ると私は思っていて。恥ずかしがる瞬間って、日常では無いじゃ無いですか、なかなか。それがご主人様にとっての非日常につながると思いますし、非日常に触れた瞬間に、日常の自分とは違う自分になれるんですよね。私たちは萌えの案内人、恥ずかしがっちゃいけなくて、最大限全力で全うすることが、ご主人様を乗せる


「照れの先に、萌えが有る」という語を見て、ワタクシ、自分がニューハーフ成り立ての頃のあまずっぱい時代の思い出が、フワッと脳裏に拡がったのでございます。そう、ニューハーフのお仕事ってのは、最初は「照れ」との戦いなのでございます。そして、その照れを克服した先に、お客様の笑顔だったり感動だったりが有る。メイドとニューハーフとに、強い共通点を見出したのでございます。

メイドに従事する人が、日常生活でもあんなコロコロした話し方をしているわけではございません。同様に、「ニューハーフ」がウリとする女っぽさも、大なり小なり「作られたキャラクター」なのでございます。そのキャラクター作りで最初に立ちはだかるのが「照れの壁」。声にしろ仕草にしろ、ある意味「演技」なのでございます。

似たようなことを、メイドの hitomi さんも言っております。「どう接客したらいいか分からない」と質問する新人メイドに向かって、こんな言葉を発しております。


自分自身の感情とメイドとしての感情を切り離してもいいかも。『演じる』って本当に言いたくないんだけど、でも、ある意味、メイドとして変身する、なりたい自分像になれるっていうのは、メイドの本当の良さだと思う


hitomi さんが「演じる」という語を口ごもっているのは、その誠実さの表れなのでしょうね。その証拠に、hitomi さん、「伝わるのは、心」という言葉も発しております。「まず、まごころ有りき」が hitomi さんの接客の信条なのでしょうね。

なんかね、メイドさんのお仕事を見てましたら、「あぁ、ニューハーフと同じだぁ」と思ってしまったわけで、hitomi さんが「非日常」の表現を重要視しているところにも驚いたわけでございます。なんてったって、ニューハーフほど「非日常」な世界はございませんからね。

hitomi さんは、「メイドを文化にしたい」と言っておられました。メイドというお仕事にきちんと美学を持って従事していらっしゃる hitomi さんに感動したと同時に、メイドという仕事をちょっとバカにしていた自分が反省させられた番組でございました。

一方、かつて「文化」だったニューハーフの世界は、今やLGBTが一般化し始めて、日常と非日常の境目が曖昧になり、文化から(店舗ではなく世情としての)風俗に成り下がりつつございます。hitomi さんの生き方を見て、少々ノスタルジーになったワタクシでございました。では、では。


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