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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2018-11-05 【これがテレビ局のやり方かぁ!】

テレビを見ておりますと、もうね、ほんと、インチキな表や図に出会うことが多うございまして、本日も見つけてしまったのでございます。所ジョージさんの番組、『新設!所JAPAN』という番組が「オネエ」を扱っておりました。まずは、この表をご覧下さいませ。

音声のエキスパートだという大学の先生が分析したものを表にしたそうでございます。オネエの声がいかに高いかということをグラフに表したわけでございますね。ここで、大学の先生の名誉のために、あらかじめことわっておきますよ。この表は、多分、研究結果の「数字だけ」を聞いて、グラフはテレビ局のスタッフが作製した物なのでしょう。

グラフを見ると、まぁ、オネエの声は高そうでございますね。人間の声というものは、普通に話していても1オクターブくらいは高さが上下しております。「基本周波数」というのは、その高さの幅の中で、抑揚を付けずに自然に声を出した時の声の高さの周波数でございます。グラフの周波数を、音符にして書き込んだのが、ワタクシが手を入れた次の図でございます。

男声ってのは、だいたい「低い低いド」あたりを中心に声を出しております。女声は同様に、「低いド」のあたりが中心。オネエ声はその女声のさらに上、「まん中のラ」あたりを使っているというのが、このグラフでございます。

男声と女声の周波数は、まぁ一般的に言われている男声・女声の基本周波数でございます。オネエ声のこの周波数、男性が出すにはファルセットという裏声でしか出せない音域。しかし、放送で流れていたオネエ声のサンプルは、そんな話し方はしていなかったのでございます。ここでワタクシ、「テレビ局、やりやがったなぁ」と察したわけでございます。

そこで、注目したのが「横軸」。横軸の時間の体位が「ミリ秒」となっております。これを見て、ワタクシ唖然でございます。この表は、たった「0.2秒」の音声を分析したに過ぎないのでございます。0.2秒、ほんの一瞬。つまり、会話の中のほんの一瞬声が上ずった部分をサンプリングしただけのグラフ。とても「基本周波数」などと呼んではいけないグラフなのでございます。

さらに、インチキというかスタッフの無知をさらけ出しますが、周波数というのは対数変化。対数変化って説明するのが難しいですが、簡単に言いますと、「2倍、3倍、4倍...」と増えていくのではなく、「2倍、4倍、8倍...」とかけ算的に増えていくのでございます。当然、グラフもその様なメモリにしなければなりません。ということで、さらにワタクシが手を加えたのが、このグラフ。

縦軸の周波数は、対数変化に直し、グラフもその数字に合わせてずらしてございます。そして、元の表ではなぜか原点が「100」になってましたが、これも相対量を比較するグラフでよく使われるインチキ、ちゃんと「0」からに直しましたよ。横軸の時間軸も、起点が「100」に。これもおかしな話ですが、まぁ大勢に影響はないのでそのままに。

そして、どうしても気になるのが、オネエ声の基本周波数が高すぎるということ。ワタクシの実感では、「低いラ」くらいに感じております。ということで、最終的に作り直したグラフがこれでございます。

最後のグラフを見ますと、男声のほぼ2倍の周波数に女声の基本周波数が有りまして、オネエ声が女声のちょっと下に基本周波数が有るというのが実際ではないでしょうか。

さらに番組内で大学の先生、「オネエ声には独特の『クセ』が有る」と申しております。実は、声が「男」に聞こえるか「女」に聞こえるかは、その抑揚のクセが重要なのでございます。女性の方が抑揚の変化が大きく、オネエの方々は、その大きな抑揚を真似ることによって、ちょっと低めの声でも「女性っぽい」印象を与えているのでございます。

大学の先生が核心を突いたことを言い始めていたのに、その部分は多分大幅にカットされたのでしょうか? う~ん、残念でございます。素人に分かりやすい「周波数」だけを「ちょっと誇張したグラフ」で演出、「これがテレビ局のやり方かぁぁぁぁ!」とおかずクラブのゆいPよろしく叫びたくなる心境でございます。

テレビではよく有ることですが、こういった「女子供だまし」の演出は、やめて欲しいなぁ。まぁ、小一時間かけてグラフを作り直したりとか、ワタクシもちょっと偏屈ですけどね(笑) ということで、この辺で失礼いたしましょう。では、では。


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